講演情報
[03心-ポ-56]スノーボード・スロープスタイル/ビッグエア選手の個人特性と試合前の心理状態との関連
*髙橋 由衣1、山本 悠介2、岩田 理沙3、尾崎 宏樹1 (1. ハイパフォーマンススポーツセンター/国立スポーツ科学センター、2. 独立行政法人日本スポーツ振興センターデジタル推進室、3. 至学館大学)
スノーボード・スロープスタイル/ビッグエア(SSBA)は、キッカーと呼ばれる人工のジャンプ台に向かって高速で滑走し、空中での回転や着地を含む高度なトリックを要する競技である。特に、高難度なトリックでは着地時にバランスを崩すと骨折や捻挫などの外傷につながる可能性が高い。そのため、SSBA選手は失敗や外傷への恐怖心を抱えながら競技に臨み、強い心理的プレッシャーに晒されている。これまでトップアスリートの心理的特徴は明らかにされてきたが(實宝ほか,2024)、SSBAのような危険を伴う競技では、脅威や報酬に対する感受性も試合前の心理状態に影響する可能性がある。なかでも、行動抑制系(BIS)および行動賦活系(BAS)は脅威や報酬への感受性を反映する個人特性として知られている(Gray, 1981)。そこで本研究では、SSBA選手の個人特性と試合前の心理状態との関連を検討することを目的とした。対象者はSSBA強化指定選手14名で、個人特性および試合前の感情について評価した。そのうち、心拍数を測定できた5名について、国際大会における試合前の心理状態を生理学的指標から検討した。その結果、SSBA選手は一般成人および他の競技選手よりBIS得点が低く、BAS得点が高い傾向を示した(p < .10)。一方、SSBA選手では、パフォーマンス発揮・未発揮にかかわらず、BIS傾向かつネガティブ感情を示す選手が有意に多く(p < .05)、失敗や外傷リスクへの不安やプレッシャーを経験していることが示唆された。また、複数大会における試合前の自律神経活動には個人内変動がみられ、個人特性や試合状況に応じて心理状態が変化する傾向がみられた。以上より、SSBAのような危険を伴う競技では、個人特性と試合前の心理状態を踏まえた心理支援の重要性が確認された。
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