講演情報
[09コ-ポ-03]学生コーチはどのようにコーチとしての指導観を形成していくのか大学運動部学生コーチの発達過程に着目して
*渡邊 裕也1、池田 和司1、辻 孟彦2、玉田 理沙子3、冨田 剣太郎1、大井 理緒1 (1. 日本経済大学、2. 日本体育大学、3. 志學館大学)
近年、大学運動部において部の運営や管理、練習補助や実際の指導に携わる、学生コーチの存在が注目されている。一方で、学生コーチがどのような経験を通してコーチとしての指導観を形成していくのかについては、十分に検討されていない。競技現場における実践経験や他者との関わりが、指導観や役割認識にどのような影響を与えるのかを明らかにすることは、学生コーチに対するコーチングや、学生コーチ自身のコーチング能力を高めていく上で有益な情報となる。そこで本研究では、大学運動部学生コーチの発達過程を明らかにし、学生コーチに対するコーチング支援を検討することを目的とした。 対象は、大学運動部に所属する(所属していた)学生コーチ5名であった。データ収集には半構造化インタビューを用い、学生コーチへの転向経緯、印象的な経験、指導観の形成過程、困難の経験、他者との関わり等を質問した。分析には複線径路・等至性モデル(TEM)を用い、時間的推移や分岐に着目しながら発達過程を整理した。 分析の結果、学生コーチの発達には、全国大会での経験や日常的な選手との関わりに加え、監督からの信頼に基づく役割付与、他者との対話、省察経験などが影響していた。特に、コーチングスタッフとして専任の監督・コーチと同様に指導に携わる経験は、意思決定の責任を伴う実践機会となり、主体性や判断力の形成に影響を及ぼしていた。また、同様の経験であっても、その意味づけは対象者によって異なり、将来像や既有の指導者志向が経験解釈を方向づけていた。さらに、学生コーチは一方向的に成長するのではなく、葛藤や迷いを繰り返しながら、コーチとしての自己形成を進めていることが示唆された。
コメント
コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン
