講演情報

[09コ-ポ-23]パルクール実践者の動感世界に関する発生運動学的研究熟練トレーサーへの借問を手がかりに

*中村 真由美1 (1. 清泉大学短期大学部)
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パルクールは近年認知度が高まり、国内でも専用施設や教室の開設、大会の開催など競技化が進んでいる。しかしパルクールは本来、日常・遊び・文化として実践されてきた身体運動であり、実践環境が毎回異なること、技に定型的な正解が存在しないこと、動きが環境との関わりの中で即興的に生成されることをその本質とする。こうした特性ゆえに、実践者は規格化された競技スポーツの実践者とは異なり、その都度の環境を独自に意味づけ、自身の身体可能性と照らし合わせながら動きを構成している。すなわち、実践者がいかなる動感世界のもとで動きを生成しているのかを明らかにすることなくして、パルクールの運動構造を理解することはできない。このような動感世界を研究対象とし、運動する人間の感覚・意識の構造を現象学的視点から解明する学問として、スポーツ運動学(発生運動学)がある。 本研究では、パルクール実践者の動感世界を現象学的に明らかにすることを目的とする。具体的には、環境を感じ取る働き(カン)と、感じ取った環境に対していかに動くかを企図する働き(コツ)の両側面から、動感志向性の構造を記述する。 対象は、パルクールを長年実践し、国内外で高い評価を得ているトレーサー1名である。実践者の動感世界を深く記述することを優先するため、単一事例による現象学的記述を採用する。インタビューでは、実践者が普段は前反省的にとどまっている感覚・意識を言語化できるよう、金子の借問法を援用し、得られた語りをスポーツ運動学の視座から分析する。 パルクールには技の定型的な正解が存在しないがゆえに、実践者は自らの動感世界に蓄積された感覚・意識を頼りに動感的見通しを形成し、それを動きとして実現していると考えられる。その構造の一端を明らかにすることは、今後パルクール指導法の理論的基盤を構築するうえで重要な基礎資料となる。

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