講演情報

[01史-口-04]戦後日本の卓球競技におけるカット打法の変容過程技術機能と戦型認識の変化に着目して

*木村 直登1 (1. 神戸大学大学院人間発達環境学研究科)
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本研究は、戦後復興期から1959年の打球面規定改正を経た1960年までの日本卓球において、カット打法がどのように変容したのかを明らかにすることを目的とする。方法として、当時の卓球技術書、卓球雑誌、世界選手権報告、選手回顧録、国際卓球連盟総会議事録等の記述内容を検討した。本研究では、カット打法をめぐる変化を、打法そのものの変化と、それに対する捉え方の変化という二つの側面から把握した。その結果、戦前末期においてカット打法は、下回転を与える防御打法として運動様式が確立し、独立した戦型として位置づけられるとともに、攻撃選手にも習得が推奨される基礎的技術として規範化されていたことが確認された。戦後期には、この基本性格が継承される一方、ゴム張りラケットや特殊ラバーの普及・変化、さらに1959年の打球面規定改正を背景として、カット打法は従来の守備的機能に加え、強い回転変化によって相手のミスを誘う攻撃的・撹乱的機能を帯びるようになった。また、1960年の指導書では、カットが「チョップ」「スライス」等の下位区分をもつ打法系列として再記述された。さらに、カット打法に対する捉え方については、戦前末期の三戦型並列とオールラウンド型の理解が継承されつつ、福士敏光によって四階梯のオールラウンド体系が示され、戦型分類が多段階化した。また、山田が戦前期に戦型対戦型の枠組みで記述していた対カット型戦術は、戦後の指導書において、より細分化された対戦相手類型のもとで独立した項目として扱われるようになった。以上より、戦後期のカット打法は、戦前末期に成立した基本性格を継承しつつ、用具変化、規則改正、戦型分類、対カット型戦術の再編を通じて、その技術的機能と競技上の位置づけを質的に変化させていったと理解できる。

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