講演情報
[学校保健体育-A-11]中学校ダンス授業における「技能評価観点構造図」の活用が課題発見に及ぼす影響(教)リズム系ダンス授業の形成的評価と振り返り記述の分析を通して
*今 樹菜1,2、栫 ちか子3 (1. 月形町立月形中学校、2. 鹿屋体育大学大学院、3. 鹿屋体育大学)
本研究は、中学校ダンス授業において、中学生版「技能評価観点構造図」である「ダンスをより良くするためのポイント」を活用した授業が、生徒の課題発見にどのように作用するのかを、映像視聴時のアドバイス記述、教材活用度、形成的評価および振り返り記述から検討することを目的とした。ダンス授業における課題発見では、動きのどこに着目すればよいかや、どのように表現を工夫すればよいかが曖昧になりやすく、「大きく動く」「メリハリをつける」といった抽象的な表現に留まる傾向がみられる。そこで本研究では、動きの見方や表現の工夫を可視化した教材を活用し、生徒の着眼点や記述内容の変容に着目した。対象は北海道内X中学校の生徒であり、全8時間のリズム系ダンス単元を実施した。1時間目と7時間目に同一のダンス映像を視聴させ、「ダンスをより良くするためのアドバイス」を自由記述で収集し、抽出語数、技能評価観点数、共起ネットワークにより分析した。さらに、各時間の形成的評価と振り返り記述、教材活用度を合わせて、課題発見の過程を検討した。その結果、1・2年生では抽出語数が増加し、全学年で技能評価観点数が増加した。記述内容は、「大きく動く」「メリハリ」といった包括的表現から、「膝を曲げる」「止める」「音に合わせる」など、身体操作、動きの質、音楽との関係に着目した具体的表現へ変容した。3年生では抽出語数が減少した一方で、共起関係は焦点化し、動画視聴による「感覚と実際のズレ」への気づきや改善点の明確化がみられた。形成的評価では、単元後半に一時的な低下がみられる学年があったが、振り返り記述を踏まえると、これは停滞ではなく、評価観点の獲得により自己や仲間の課題をより厳密に捉え始めたことによる変動と解釈された。以上より、本教材は絶対的基準ではなく、生徒が動きを観察し、課題を具体化・共有するための足場かけとして機能する可能性が示唆された。
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