講演情報
[03心-口-03]育成年代アスリートのメンタルヘルスケアを支える教育プログラムの開発メンタルヘルスリテラシーと支援環境に着目して
*小塩 靖崇1 (1. 東京大学)
【目的】スポーツ参加は体力向上に加え、仲間との関係づくり、責任感、感情調整など、心理社会的発達を支える。一方、競技性が高まる育成年代では、練習量、成績や選抜へのプレッシャー、怪我、進路選択、周囲との関係が重なり、こころの不調に気づきにくく、相談しにくい状況が生じうる。本研究は、育成年代アスリートのメンタルヘルス教育プログラム開発に向け、教育内容と評価方法を整理することを目的とした。 【方法】メンタルヘルスリテラシー教育、援助希求、スティグマ軽減について、スポーツを基盤とした啓発に関する研究知見を、国際学術誌を中心に系統的レビューの手順に基づき整理した。あわせて、IOC等の声明文書、国内の学校保健教育、相談体制や心理サポート資料を確認し、教育内容、実施形態、評価指標、効果、課題を抽出した。 【結果】メンタルヘルスに関する知識、不調のサインの認識、他者を支援しようとする意図、援助希求態度に肯定的効果が報告されていた。一方、実際の相談行動への効果、スティグマ軽減の持続性、長期効果、保護者・指導者を含む支援環境への波及に関する検証は限られていた。IOC関連文書では、早期の気づき、適切な紹介、選手を取り巻く関係者を含む支援、安全で発達段階に即した競技環境の重要性が示されていた。国内では、学校での精神疾患教育や相談体制の枠組みは整備されつつあるものの、育成年代アスリートに特化した教育プログラム研究は不足していた。 【結論】育成年代アスリートへの支援では、こころの不調を個人の問題としてのみ捉えず、発達段階、対人関係、チーム文化、相談先へのアクセスが相互に関わるものとして理解する必要がある。教育プログラムでは、不調への早期の気づき、相談行動の具体化、仲間への関わり方、相談先の可視化、安心して相談できる環境を構成要素とし、個人・対人・組織の各水準で評価することが求められる。
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