講演情報
[09コ-ポ-06]アクアティクス競技におけるハイパフォーマンスコーチの実践知構造M-GTAによる5競技横断分析
*奥野 景介1 (1. 早稲田大学スポーツ科学学術院)
スポーツ指導者育成では理論や専門的知識の体系化が進む一方,ハイパフォーマンスコーチ(HPコーチ)の実践知の構造と形成過程は十分に明らかにされていない.そこで本研究は,アクアティクス5競技のHPコーチを対象に,実践知の構造と形成過程を検討した.競泳,オープンウォータースイミング,水球,飛込,アーティスティックスイミングの各競技のHPコーチ5名に半構造化インタビューを実施し,逐語録を修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA;木下,2003)により分析した.分析テーマは「HPコーチの実践知形成」とし,分析結果は対象者への確認を通して妥当性を検討した.分析の結果,HPコーチの実践知は,技術・生理・心理・戦術に関する知見が競技文脈のなかで統合され,一部に言語化しにくい暗黙知的側面を含んでいた.また,理論や科学的知識は固定的な行動基準ではなく,状況に応じた判断の手がかりとして機能していた.さらに,実践知の形成には,帯同や師弟関係を通じた学習と省察,ならびに主体的な探究が共通して認められた.加えて,指導者養成では,講習会中心の一方向型研修だけでは不十分であり,現場帯同,ケーススタディ,双方向的な省察を制度的に位置づける必要があること,さらに育成段階を担うコーチの評価や国際経験・語学学習を支える仕組みの整備が課題であることが示された.以上より,HPコーチの実践知の継承には,知識の伝達に加えて,省察を伴う実践参加の機会を組み込んだ養成の仕組みを整える必要がある.
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