講演情報

[05バ-口-02]男子短距離競技者におけるハムストリング損傷の既往歴と下肢慣性特性の関連

*安本 崇隼1、佐渡 夏紀1 (1. 筑波大学)
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ハムストリング損傷は再受傷率が高く、既往歴の有無と身体特性の変化の理解はその予防に寄与する。機能的・形態的な左右差は再受傷のリスク因子の一つとされ、筋力比較などが行われてきた。ハムストリング損傷は下腿が振り出される遊脚後期に好発すること、大きな下肢慣性モーメントは理論上遊脚後期の負荷を増大させることから、下肢慣性特性の左右差も受傷に関与している可能性がある。しかし、下肢慣性特性と既往歴の関係は検討されてこなかった。本研究では、ハムストリング損傷の既往歴と短距離競技者における下肢慣性特性の関連について検証した。男性短距離競技者におけるハムストリング損傷の既往無し (25名)、片脚既往 (18名)、両脚既往 (10名) 計53名を対象にMRI撮像を行い、水強調画像と脂肪強調画像を得た。得られた画像から、各ボクセルを皮質骨、海綿骨、筋・皮膚、脂肪に分類し、各組織の密度の文献値と組み合わせることで下肢質量分布を算出した。得られた下肢質量分布から、解剖学的正位の股関節屈曲伸展軸回り下肢慣性モーメントを左右それぞれで算出した。全対象者での検定で、下肢慣性モーメントは利き脚 (2.180±0.352 kg・m2) で非利き脚 (2.200±0.366 kg・m2) より有意に小さかった。片脚既往群で、下肢慣性モーメントは利き脚 (2.114±0.314 kg・m2) で非利き脚 (2.137±0.314 kg・m2) より有意に小さく、健脚 (2.127±0.315 kg・m2) と患脚の間 (2.124±0.331 kg・m2) に有意差は認められなかった。片脚既往者における下肢慣性特性は、既往脚と健脚間で類似し、短距離競技者全体で見られた利き脚と非利き脚の差が同様に観察された。既往歴が及ぼす身体特性の変化は下肢慣性特性においては認められず、既往歴が受傷リスクを高める因子に下肢慣性特性は関与していないことが示唆された。

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