セッション詳細
【シンポジウム42】今こそ大切にしたい、日本の将来を担うこども達の育ちの礎「母子保健事業」
2025年10月30日(木) 9:40 〜 11:10
第5会場 (1001-1)
座長:越田 理恵(金沢市福祉健康局(兼)金沢市保健所)
小倉 加恵子(鳥取県福祉保健部/子ども家庭部(兼)倉吉保健所)
小倉 加恵子(鳥取県福祉保健部/子ども家庭部(兼)倉吉保健所)
母子保健事業は、こどもの健やかな育ちを支える社会基盤として、妊娠期から乳幼児期、さらには学童期以降に至るまで、成育過程に応じたサービスを継続的に提供する仕組みです。地域に根ざした「あたたかなおせっかい」とも言える、予防的視点のある関わりを通じて、医療・福祉・保育・教育等の多領域と連携しながら、こどもと家族に寄り添う支援を行ってきました。
戦前の保健所法による基盤形成を経て、戦後の児童福祉法制定を契機に、母子健康手帳の導入、乳幼児健診、訪問指導などが制度化され、母子保健法の制定により体系的な制度として確立されました。これらの取り組みは、乳児死亡率の低下や国民の健康水準の向上に大きく貢献してきました。
近年、少子化や核家族化、育児不安の高まり、児童虐待の顕在化など、家庭や地域を取り巻く状況が変化する中で、母子保健は、育児環境の向上を含む子育て支援の機能も担うようになりました。2001年には、21世紀の母子保健の国民運動として「健やか親子21」が始まり、ライフステージに応じた支援の充実や地域実践の可視化が進められてきました。成育基本法の成立以降は、プレコンセプションケアの観点から、支援の対象が成育サイクル全体へと広がっています。
2023年に創設されたこども家庭庁は、「こどもまんなか社会」の実現を理念として掲げ、心身の発達過程にあるこどもを広く対象とし、保護者や子育て世帯も含めた切れ目ない支援体制の構築を目指しています。母子保健の現場では、福祉的支援を必要とする家庭が増え、2024年度からは全国で「こども家庭センター」の設置が始まりました。健康支援と福祉的支援との境界が曖昧になる中で、専門性の再確認や多職種連携の強化が求められています。また、複雑な課題を有する家庭の増加に伴い、すべてのこどもを対象とするポピュレーションアプローチと、特定の支援が必要な家庭へのハイリスクアプローチを、限られた資源の中で効果的に組み合わせることも大きな課題となっています。
社会と制度の変化が加速する今、母子保健の担い手には、こどもと家庭に寄り添いながら、現場から地域の未来を形づくる力となることが期待されています。本シンポジウムでは、母子保健の実践の歩みと現状の課題、そして、今後の展望を共有し、こども達の育ちを支える礎としての母子保健の価値を改めて見つめ直す機会としたいと考えています。
戦前の保健所法による基盤形成を経て、戦後の児童福祉法制定を契機に、母子健康手帳の導入、乳幼児健診、訪問指導などが制度化され、母子保健法の制定により体系的な制度として確立されました。これらの取り組みは、乳児死亡率の低下や国民の健康水準の向上に大きく貢献してきました。
近年、少子化や核家族化、育児不安の高まり、児童虐待の顕在化など、家庭や地域を取り巻く状況が変化する中で、母子保健は、育児環境の向上を含む子育て支援の機能も担うようになりました。2001年には、21世紀の母子保健の国民運動として「健やか親子21」が始まり、ライフステージに応じた支援の充実や地域実践の可視化が進められてきました。成育基本法の成立以降は、プレコンセプションケアの観点から、支援の対象が成育サイクル全体へと広がっています。
2023年に創設されたこども家庭庁は、「こどもまんなか社会」の実現を理念として掲げ、心身の発達過程にあるこどもを広く対象とし、保護者や子育て世帯も含めた切れ目ない支援体制の構築を目指しています。母子保健の現場では、福祉的支援を必要とする家庭が増え、2024年度からは全国で「こども家庭センター」の設置が始まりました。健康支援と福祉的支援との境界が曖昧になる中で、専門性の再確認や多職種連携の強化が求められています。また、複雑な課題を有する家庭の増加に伴い、すべてのこどもを対象とするポピュレーションアプローチと、特定の支援が必要な家庭へのハイリスクアプローチを、限られた資源の中で効果的に組み合わせることも大きな課題となっています。
社会と制度の変化が加速する今、母子保健の担い手には、こどもと家庭に寄り添いながら、現場から地域の未来を形づくる力となることが期待されています。本シンポジウムでは、母子保健の実践の歩みと現状の課題、そして、今後の展望を共有し、こども達の育ちを支える礎としての母子保健の価値を改めて見つめ直す機会としたいと考えています。
[シンポジウム42-1]「こどもまんなか」を実現する母子保健活動
*山縣 然太郎 (国立成育医療研究センター成育こどもシンクタンク)
[シンポジウム42-2]母子保健データからみたこどもの現状と課題
*杉浦 至郎 (あいち小児保健医療総合センター)
[シンポジウム42-3]「安心して産み、健やかに育ち育てる」を支援する
*山下 典子 (高槻市子ども未来部子ども家庭みまもりセンター子ども保健課)
[シンポジウム42-4]教育相談臨床から母子保健を考える
*熊谷 有紀子 (金沢市教育プラザ)
