セッション詳細

【シンポジウム52】地域・職域における新たな高血圧対策: 日本高血圧学会からの提案

2025年10月31日(金) 8:50 〜 10:20
第1会場 (中ホール:1階)
座長:岡村 智教(慶應義塾大学衛生学公衆衛生学)
   武見 ゆかり(女子栄養大学)
1960年代、日本人の脳卒中死亡率が世界一高かった時代には、重症の高血圧が蔓延しており壮年期の脳出血死亡が多く見られた。その後、健診による高血圧の早期発見・早期治療プログラムが普及し、超過剰だった塩分摂取量の減少とも相まって、脳卒中の年齢調整死亡率は大きく減少した。1982年開始された老人保健法事業による基本健診でも高血圧の早期発見と早期治療に重点が置かれていたが、2008年から開始された特定健診では内臓脂肪の蓄積に着目されるようになったため、高血圧の有無や重症度に関わらず特に肥満に注目が集まりやすい状況となった。そのため公衆衛生の現場では、何となく高血圧対策は過去のものになったような雰囲気が存在していることは否めない。しかしながら、依然として主要な危険因子の中で高血圧の循環器病死亡に対する寄与は第1位であり、人口寄与危険割合は40%を超えている。
本シンポジウムは、日本公衆衛生学会と日本高血圧学会との共催シンポジウムとして開催する。日本高血圧学会では2025年より「血圧朝活!」とした血圧測定推進・早朝高血圧克服の全国民対象のキャンペーンを開始している。また、8月に発行された新しい高血圧管理・治療ガイドライン2025では生活習慣の改善を重視し、公衆衛生施策についても提言している。また最近注目を集めているナトカリ比については、2024年10月に尿ナトカリ比目標値設定のコンセンサスステートメントが公表された。さらに日本高血圧学会が実施しているモデルタウン事業「高血圧ゼロのまち」は、健康日本21のアクションプランとしても紹介され、公衆衛生領域との関連が大きい。
 本セッションでは、日本高血圧学会から苅尾理事長(自治医科大学)、ガイドライン作成委員長の大屋教授(琉球大学)、「高血圧ゼロのまち」事業の委員長である大石教授(鹿児島大学)を招聘し、さらに尿ナトカリ比目標値設定や厚生労働省実証事業の委員長を務めた三浦教授(滋賀医大)の4人の演者で、公衆衛生における高血圧予防のあり方を新たな視点で考える。

[シンポジウム52-1]「『血圧朝活!』全国キャンペーンの提案」

*苅尾 七臣 (自治医科大学内科学講座循環器内科学部門)

[シンポジウム52-2]新しい高血圧ガイドライン(JSH2025)の改訂のポイント

*大屋 祐輔1,2 (1. 沖縄県北部医療財団,2. 琉球大学)

[シンポジウム52-3]尿ナトカリ比の活用の提案:コンセンサスステートメント

*三浦 克之 (滋賀医科大学)

[シンポジウム52-4]「高血圧ゼロのまち」へのお誘い

*大石 充 (鹿児島大学 心臓血管・高血圧内科学)