セッション詳細

【シンポジウム55】EBPMに寄与するエビデンスづくりー日本老年学的評価研究(JAGES)25年の歩みと教訓

2025年10月31日(金) 15:20 〜 16:50
第1会場 (中ホール:1階)
座長:近藤 克則(千葉大学)
   ローゼンバーグ 恵美(世界保健機関(WHO)・健康開発総合研究センター(神戸センター))
ここ15年ほどの間に、健康格差の縮小、ソーシャル・キャピタル、ライフコース、通いの場・まちづくりによる介護予防、社会的孤立対策、自然に健康になれる環境づくりなどの言葉が政策文書に登場した。その前には、それらの重要性を示すエビデンスづくり、産官学民が連携した実践例づくり、その効果の評価研究などが必要であった。
 それをリードしてきた研究グループの1つが日本老年学的評価研究(JAGES)である。JAGESの前身である愛知老年学的評価研究(AGES)が初回調査を2000年に行ってから今年は25周年にあたる。JAGESは、10年ほど時代を先取りして、それらの概念からエビデンスまでを学界や社会に発信し、対策の実践事例の開発とその効果検証に取り組み、Knowledge translationやEvidence Based Policy Making(EBPM)、産学共創研究に関わってきた。
 本シンポジウムでは、これからのEBPMのいっそうの推進に向けて、10年先を見た時、どのようなテーマのエビデンスづくりや、産官学民の連携にどのように取り組むべきかを考えたい。
 グローバルヘルスに関わってはWHO健康開発総合研究センターのRosenberg氏から、国内の保健・介護予防行政については厚生労働省老健局の長嶺氏から、EBPM/EIDM (evidence-informed decision-making)を巡る国内外の動向や、そこで求められているエビデンスや、その活用に向けた自治体支援や政策立案者、産業界、民間、研究者との連携の実例やあるべき姿などについてお話しいただく。公衆衛生学の研究者の立場からは、東京科学大学の相田教授から健康日本21(第3次)やヘルスプロモーションについて、日本福祉大学の斉藤教授から、介護予防分野における成果連動型民間委託契約方式(PFS:Pay For Success)による社会実装を視野に入れた産官学民共創研究について、JAGESの25年の歩みにおける共同・共創研究事例を交えてご報告いただく。
 これらの報告を材料に、今後いっそうのEBPMの推進に向けて、優先して取り組むべきエビデンスづくりのテーマや内容、JAGESが残してきた産官学民連携・共創研究などに関わる教訓、克服すべき今後の課題などについて論議したい。

[シンポジウム55-1]見えづらいことの「見える化」への限りなき挑戦

*ローゼンバーグ 恵美 (世界保健機関健康開発総合研究センター(WHO神戸センター))

[シンポジウム55-2]国の介護予防施策の変遷と自治体支援の重要性

*長嶺 由衣子 (厚生労働省 前・老健局老人保健課(現・医政局医療情報担当参事官室))

[シンポジウム55-3]ヘルスプロモーションを広げる多様な健康の社会的決定要因の実証

*相田 潤 (東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 歯科公衆衛生学分野)

[シンポジウム55-4]介護予防分野でのPFS/SIBを活用した産学共創研究の可能性

*斉藤 雅茂 (日本福祉大学)