セッション詳細

【シンポジウム57】JSPH、JSTB学会共同企画シンポジウム:飛び出せ日本―途上国の公衆衛生と結核対策

2025年10月31日(金) 10:10 〜 11:40
第2会場 (交流ホール:6階)
座長:前田 秀雄(公益財団法人結核予防会)
   長嶺 路子(板橋区保健所)
指定発言者:小野崎 郁史(公益財団法人結核予防会)
結核は慢性的なパンデミック状態にあり、単一の病原体として毎年100万人以上の命を奪う世界最大の感染性疾患です。これまでにも多くの日本人専門職が国際協力活動に携わり、高蔓延国の結核制圧に向けて多くの成果を上げてきました。近年は、AA諸国の技術力の向上や社会基盤の整備に伴い、先端的な検査診断機器を活用した事業も進められています。本シンポジウムでは結核予防会が長年活動してきたカンボジアやネパールでの支援をはじめ、住民と一体となった国際協力活動が紹介されます。
 また、国際協力活動は現地での保健医療体制のへの貢献だけではなく、慣れない異国での格闘や様々な人種、民族の方たちとの交流を通して、派遣された方たちが保健医療職として人間として成長し、さらなるキャリアップにつながることも期待されます。発表の中では、活動成果とともにあった自己の成長への気づきについても語っていただきます。
 一方で、活動終了後に国内でその知見経験を生かせる場は、研究機関を除けばと必ずしも多いとは言えない現状です。若い公衆衛生従事者が、後顧の憂いなく海外で活躍の場を求めることができるためには、帰国後に国際活動の経験を生かすことのできるキャリアパスが地域保健医療分野等で確保されていることが重要です。
 そして、多くの保健医療専門職が海外活動と国内活動をストレスなく行き来し、海外制度を体感した視点で日本の保健医療行政の充実に取り組むことができれば、日本の保健医療行政をより良い方向に導けるのではないかと考えます。例えば、結核対策は普及啓発、疫学、医療制度、治療技術、等公衆衛生及びプライマリヘルスケアのほとんどの要素を包含しており、国際協力で知見経験が国内での対策政策に活用できる分野です。
 こうした国際協力活動を取り巻く課題について、海外での活動に少しでも関心興味のある方々に参加していただき、会場と共に世代を超えた活発な意見交換が行われることを期待します。

[シンポジウム57-2]ウズベキスタンで考えたこと

*井上 守江 (荒川区保健所健康推進課保健相談担当)

[シンポジウム57-4]私と感染症の歴史ーWHOでの経験を通して

*尾身 茂 (公益財団法人結核予防会)