日本マインドフルネス学会第13回大会

講師・登壇者紹介

プログラム進行順に,順次掲載いたします。
(2026年8月24日更新)

研修会

研修会A-1「マインドフルペアレンティング:自分自身の親になる」

 

戸部 浩美

石川県立看護大学小児看護学講座 教授

 子育ては、子どもを育てると同時に、自分自身を見つめ直し、育て直す機会でもあります。葛藤や苦しみに直面することもありますが、それは自分自身を癒し成長する機会にもなります。本研修では、マインドフルネスを子育てに取り入れることで、自分の思考や感情への気づきを深め、自分自身と子どもの双方を育む実践について体験的に学びます。また、親支援や子育て支援に携わる専門職が、個人や親子、家族を支援する際に活用できる具体的な視点やスキルを紹介し、支援者自身のウェルビーイングの向上やバーンアウト予防への応用についても考えます。

Profile

東京外国語大学ロシア語科、茨城県立医療大学看護学科卒業。筑波大学で修士号(看護科学)、東京大学で博士号(保健学)を取得。東京大学グローバルナーシングリサーチセンター特任助教・特任講師を経て、2023年より現職。子育て中の親の感情調整やレジリエンス向上支援の研究を行う中で、マインドフル・ペアレンティングの開発者であるスーザン・ボーゲルズ教授に師事し、認定ティーチャー資格を取得。ボーゲルズ教授らを招聘してParenting Ourselves(自分自身の親になる)リトリートを開催するほか、マインドフル・ペアレンティング尺度の開発や介入研究に取り組む。2025年には米国ブリガム・ヤング大学招聘教授として教育・研究に従事。2026年より「子どもと家族のレジリエンスネットワーク」を設立し、地域参加型実装研究を推進している。

主要論文・著書

主要論文
Tobe H, Watson AL, Marquez G, Detrick R. (2026) . Emerging Workforce Nurse Resilience-Enhancement Program: A Qualitative Descriptive Phenomenological Study. Journal of Advanced Nursing, 2026.

Tobe H, Sakka M, Kita S, Ikeda M, Kamibeppu K. (2022). The efficacy of a resilience-enhancement program for mothers in Japan based on emotion regulation: a randomized controlled trial. International Journal of Environmental Research and Public Health, 2022;19:14953.

主要著書
『忙しいお母さん・お父さんのためのマインドフルペアレンティング 子どもと自分を癒し、絆を強める子育てガイド』(翻訳、北大路書房)
『看護職・子育て支援者のための 家族のレジリエンスを高めるワークショップ実践ガイド』(単著、医学書院)

研修会B-1 

第一部「マインドフルネスの基礎」

 

越川 房子

早稲田大学 文学学術院

 仏教の修行法を源にもつマインドフルネス瞑想精神医療の分野に適用したパイオニアであるKabat-Zinn博士は、マインドフルネスを「意図的に、現在の瞬間に、そして瞬間瞬間に展開する体験に判断をせずに注意を払うことで現れる気づき」(Kabat-Zinn, 2003)と操作的に定義しています。特に「判断をせずに」が、実践していて難しいというお声をよく戴きます。この講義では、実際に短いマインドフルネス瞑想を体験しながら、「判断をせずに」注意を払う際のコツと、それが私たちにもたらす豊かさについてお話ししたいと考えています。

Profile

早稲田大学第一文学部心理学専修卒業。臨床心理士として精神科クリニックに勤務後、同大学大学院文学研究科心理学専攻修士課程修了、同博士後期課程単位取得満期退学。早稲田大学文学部助手、専任講師、助教授を経て現在は早稲田大学文学部・大学院文学研究科教授。2004年秋から2005年夏まで、Mindfulness Based Cognitive Therapyの開発者の一人であるオックスフォード大学教授Mark Williams(当時)の下で特別研究期間を過ごす。早稲田大学文学学術院長、早稲田大学文学部長、日本マインドフルネス学会理事長を務め、現在は同学会副理事長。

主要論文・著書

主な著書に『Horizons in Buddhist Psychology-Practice, Research & Theory』(共編著、Taos Institute Publication)、『子どものストレス対処法―不安の強い子の治療マニュアル』(共訳、岩崎学術出版社)、『ココロが軽くなるエクササイズ』(監修、東京書籍)、『うつのためのマインドフルネス実践』(共訳、星和書店、『マインドフルネスー基礎と実践』(共編著、日本評論社)マインドフルネス認知療法<原著第2版>(翻訳、北大路書房)など。

第二部「医療現場でマインドフルネスを実施すること」

 

佐渡 充洋

慶應義塾大学保健管理センター教授
慶應義塾大学マインドフルネス&ストレス研究センタ― センター長

 医療現場でマインドフルネスを実践する際には、技法そのものを学ぶことも重要ですが、まず医療としての治療の枠組みを理解することが重要です。集団精神療法やショートケア等として実施する場合には、患者さんの疾患理解、治療構造、患者との関係性、安全性への配慮など、通常の医療・精神療法に共通して求められる視点が基盤となります。また例えばマインドフルネス認知療法(MBCT)では、瞑想体験を振り返るInquiryが治療の重要な要素であることから、精神療法の基本的な訓練・経験が望ましいと考えられます。本研修では、MBCTを中心に、医療現場でマインドフルネスを提供する際の基本的な考え方と留意点を整理し、特にInquiryの目的と実際について具体的に解説します。

Profile

1997年岡山大学医学部医学科卒業。1999年慶應義塾大学医学部精神神経科学教室入局。国立千葉病院(現 独立行政法人国立病院機構千葉医療センター)神経科、慈雲堂内科病院(現 慈雲堂病院)精神科、ロンドン大学大学院への留学などを経て、2008年より慶應義塾大学医学部精神神経科学教室助教。その後専任講師を経て、2022年より慶應義塾大学保健管理センター教授、慶應義塾大学マインドフルネス&ストレス研究センタ― センター長。マインドフルネスについては、2010年よりマインドフルネス認知療法、マインドフルネスストレス低減法の実践をはじめる。日本で最初のマインドフルネス認知療法のRCTを実施するなど、実践に加えて科学的側面からも、マインドフルネスの社会的普及に取り組んでいる。

資格:qualified MBSR teacher(マサチューセッツ大学)

主要論文・著書

佐渡充洋(監訳). さらに深めるマインドフルネス 安らぎへと導かれる新たな8週間のプログラム. 大阪:創元社;2025.
佐渡充洋, 藤澤大介(編著).  マインドフルネスを医学的にゼロから解説する本. 東京: 日本医事新報社; 2018.
佐渡充洋, 大野裕(監訳).  自分でできるマインドフルネス: 安らぎへと導かれる8週間のプログラム. 大阪: 創元社; 2016.
Sado M*, Koreki A, Ninomiya A, Kurata C, Park S, Fujisawa D, Kosugi T, Nagaoka M, Nakagawa A, Mimura M. Cost-effectiveness analysis of mindfulness-based cognitive therapy in patients with anxiety disorders in secondary mental health care settings alongside a randomized controlled trial. Front Psychiatry. 2024;15:1391786. DOI:10.3389/fpsyt.2024.1391786

Ninomiya A, Sado M*, Park S, Fujisawa D, Kosugi T, Nakagawa A, et al. Effectiveness of mindfulness-based cognitive therapy in patients with anxiety disorders in secondary-care settings: A randomized controlled trial. Psychiatry Clin Neurosci. 2020;74(2):132-9.

研修会B-2
青少年のためのマインドフルネス:構成主義的アプローチから考える、体験を通した学び

 

コーディネーター

池埜 聡

関西学院大学人間福祉学部教授

 青少年のこころに寄り添い、その成長を支えるために、マインドフルネスはどのような学びとなり得るのでしょうか。本研修では、国内外で展開されている青少年向けの実践に触れ、参加者自身の体験と対話を重ねながら、教育や支援の場で大切にしたい視点を考えます。井本由紀先生、内田範子先生とともに、子どもや若者の主体性と多様性を尊重するマインドフルネス教育の可能性を、実際のプラクティスの経験をもとに考えていく機会となります。

Profile

神戸生まれ。UCLA社会福祉研究科博士課程修了(Ph.D.)。
専門はソーシャルワーク、トラウマ学、マインドフルネス。

主要論文・著書
主著として、『トラウマとマインドフルネス:心理療法・ソーシャルワーク・仏教瞑想が照らすケアの本質と回復への道のり』(2026年・共著)北大路書房、『福祉職・介護職のためのマインドフルネス』(2017年・単著)中央法規出版など。

 

インストラクター

井本 由紀

慶應義塾大学理工学部 准教授

 

インストラクター

内田 範子

慶應義塾大学観想研究センター共同研究員
群馬県教育委員会スクールソーシャルワーカー/社会福祉士

 青少年にマインドフルネスを届けるとき、私たちは何を「教え」、何を「学んでもらう」のでしょうか。本研修では、マインドフルネス教育を、知識や技法を一方的に伝えるのではなく、学習者自身の体験を出発点として、気づきや理解を主体的に構築していく「構成主義的アプローチ」の視点から捉えます。具体的な実践として、若者を対象としたInward Bound Mindfulnessのリトリートと、エモリー大学で開発されたSEE Learning (Social, Emotional, and Ethical Learning) を紹介します。研修では、これらの実践に用いられているアクティビティも体験しながら、体験、気づき、対話、意味づけがどのように学びにつながるのかを参加者自身が探究します。さらに、教育者は「教える人」としてではなく、学習者が自ら問い、学びを構築していくプロセスをどのように支えることができるのかを、ともに考えます。

井本 由紀

慶應義塾大学総合政策学部、東京大学総合文化研究科を経て、オックスフォード大学文化人類学研究科にて博士号(D.Phil. in Social Anthropology)を取得。2010年より慶應義塾大学にて教鞭を執る。2018年にスタンフォード大学訪問研究員として、米国におけるマインドフルネス教育・観想教育の実態に関する調査研究を行う。同年に、エモリー大学で開発されているSEE Learning(Social Emotional Ethical Learning)と出会い、2019年より日本でのプログラム紹介を始める。以来、日本における観想研究(Contemplative Research)および教育教育(Contemplative Education)の文脈化と実践の研究を進めており、2024年に慶應大学内に観想研究センターを設立し、国内外でのコミュニティ・ベースの実践研究を展開している。2026年度は、インド工科大学デリー校の訪問教授として、アジアにおける観想教育の研究に取り組んでいる。

主要論文・著書

Imoto, Y. (2022). Towards a contemplative approach to ethnography and education: An ethnography of a contemplative classroom at a North American university. Ethnography and Education17(2), 122-141.

Deroche, M. H., Kuyken, W., Uwatoko, T., Imoto, Y., & Kusumoto, R. (2025). The mindful way from information to knowledge, to wisdom, and to life: Perspectives on mindfulness (-based cognitive therapy) for higher education. Mindfulness16(4), 846-863.

『若者問題の社会学 - 視線と射程』(ロジャー・グッドマン、井本由紀、トゥーッカ・トイボネン 編著、井本由紀 監訳、明石出版 2013)

『SEEラーニング プレイブック - 感じることからはじまる学び』(井本由紀 監訳、kukui books 2022)

内田 範子

UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)Mindful Awareness Research Center認定マインドフルネス・ファシリテーター、国際マインドフルネス指導者協会(IMTA)認定講師。対人援助職、学校教員、大学生等を対象としたマインドフルネス指導や、青少年向けマインドフルネス・リトリートのメンターとして活動。人や環境との関係性の中で育まれ、活かされる「関係性マインドフルネス」に注目し、プログラム開発、実践、研究に取り組んでいる。また、ソーシャルワーカーとして、児童養護施設や公立小中学校において、子どもたち自身への支援に加え、子どもたちを取り巻く人や環境との関係にも目を向けながら実践を行い、日本の教育・福祉現場における観想的実践のあり方と可能性を探究している。近年は、エモリー大学で開発されたSEE Learning®の日本における普及・実践にも携わり、マインドフルネス、コンパッション、社会的・情動的・倫理的学びを通して、次世代のウェルビーイングとレジリエンスの育成に取り組んでいる。

主要論文・著書

内田範子・池埜聡(2022)「マインドフルネス・リトリートによる青少年のための教育実践:"Inward Bound Mindfulness Education (iBme)"によるコンパッションに根ざした多様性包摂の試み」

池埜聡・内田範子(2020)「『第2世代マインドフルネス』の出現と今後の展望:社会正義の価値に資する『関係性』への視座を踏まえて」

池埜聡・内田範子(2019)「マインドフルネスの多様性に呼応する指導者養成の課題:UCLA Training in Mindfulness Facilitation (TMF) の経験を踏まえて」

懇親会ゲスト

 

中野 民夫

東京科学大学名誉教授
歌うファシリテーター 屋久島本然庵主宰

懇親会

「ティク・ナット・ハンとGRACEにまつわる歌と語り」

 ティク・ナット・ハン没後に生まれた追悼歌「ゆっくり歩こう」を一緒に歌いたいと思います。師から教わったマインドフルネスのエッセンス、ゆっくり歩く、食べる、呼吸する。さらに万物の相互依存を表すインタービーイング。そして色紙に書いてもらった  “There is no way to happiness. Happiness is the way.”などを味わいます。57歳からオリジナルソングが生まれ始めた、遅咲きのシンガーソングライターが楽しくリードさせていただきます。

Profile

1957年東京生。東京大学文学部宗教学科卒。学生時代は世界を一人旅。企業の中からの変革を目指し広告会社に就職。休職して留学したカリフォルニアで、組織変革を学び、ディープエコロジーやマインドフルネスとも出会う。帰国後、人と人・自然・自分自身のつながりを取り戻すワークショップやファシリテーション講座を実践。
1995年のティク・ナット・ハン来日企画実行委員会の事務局長を務めた。
2012年から同志社大学を経て、東工大でリベラルアーツや参加型の授業を展開。
2023年春に定年退職。屋久島の本然庵でマインドフル・リトリートなどを展開。東京科学大学で「マインドフルネス for リーダーシップ」の授業は継続中。今は歴史に学び平和を育む道を探究中。

主要論文・著書

主著:
『ワークショップ』『ファシリテーション革命』『学び合う場のつくり方』(ともに岩波書店)、『みんなの楽しい修行』(春秋社)等。

基調講演
「全人的なマインドフルネスの構築に向けて:子育てから看取りまで」

井上ウィマラ大会長

 

大会長

井上 ウィマラ

マインドフルライフ研究所オフィス・らくだ

 マインドフルネスの原語であるパーリ語のsatiが「思い出すこと」や「記憶」を含意することに基づいて、育てられることや看取ることの中で、何が繰り返し思い出されているのか、全人的な視点から考察します。その旅の道のりは、呼吸の中で繰り返されている生命記憶に気づくことから出発します。病気だけを診るのではなく、その人全体を見守る全人的医療が登場した時代背景を象徴するテレビ番組や歌を紹介しながら、全身全霊で人生を試行錯誤する可能性を探ってみたいと思います。

Profile

1959年山梨県生まれ
京都大学文学部哲学科宗教学専攻中退
日本の曹洞宗で正法眼蔵と只管打坐を学び、ビルマの上座部仏教でヴィパッサナー瞑想と経典と解釈学、並びにアビダンマ仏教心理学を学ぶ。
カナダ・イギリス・アメリカで瞑想指導の傍らで心理療法を学ぶ
1997年に還俗後、MBSRのインターンシップを特待生として研修後に帰国。
2006年から高野山大学でスピリチュアルケアの基礎理論と援助法を開拓。
2019年からは健康科学大学でコメディカルのためのマインドフルネスの応用法を研究。
2021年からはマインドフルライフ研究所オフィス・らくだ主宰として、マインドフルネスの普及に努める。

主要論文・著書

論文:「悲嘆から見た解脱への道のり」『パーリ学仏教文化学』第38号 2025
   「初期仏教におけるトラウマの位置づけ」『パーリ学仏教文化学研究』第35号 2022 他
単著:『子育てから看取りまでの臨床スピリチュアルケア』興山舎 2019、他
共著:『トラウマとマインドフルネス:臨床心理、ソーシャルワーク、仏教瞑想が照らすケアと回復への道のり』北大路書房 2026、他
訳書:『ブッダのサイコセラピー:心理療法と空の出会い』マーク・エプスタイン 春秋社 2009、他
監訳:『死にゆく人と共にあること:マインドフルネスによる終末期ケア』 ジョアン・ハリファックス 春秋社 2015
編著:『仏教心理学キーワード事典』 春秋社 2012

シンポジウム

シンポジウム1「子育てとマインドフルネス」

 

座長

越川 房子

早稲田大学 文学学術院

 このシンポジウムは、井上ウィマラ大会長のご講演『全人的なマインドフルネスの構築に向けて:子育てから看取りまでをつなぐ "念" 』を受け、特に「子育て」という世代間をつなぐ営みにおけるマインドフルネスに焦点をあて、マインドフルネスがもたらすものとその可能性について、シンポジストの先生方とフロアの皆さまとご一緒に考えたいと思います。現在子育て中の皆さまはもちろんのこと、ご自身の子育てを終えられた皆さまも、今もそしてこれからもずっと社会としての「子育て」と関わっているといえます。私たちの未来を託す子どもたちと、マインドフルネスを通した関りについて、充実した学びと意見交換の機会となることを願っています。

Profile

研修会B-1欄に記載。

主要論文・著書

研修会B-1欄に記載。


戸部 浩美

石川県立看護大学小児看護学講座 教授

話題提供2

「子育てとマインドフルネス」

 マインドフルネスは親自身の情動調整を支えるだけでなく、子どもとの安全な愛着形成を促進する基盤として注目されています。本シンポジウムでは、子育てにおけるマインドフルネスの意義について、愛着理論、メンタライゼーション、レジリエンスの視点から考察します。親が自他の心の状態を理解し、受容しようとする姿勢が、親子関係の形成や修復、親子双方のメンタルヘルス、家族レジリエンスの向上にどのように寄与するのかを検討するとともに、マルトリートメントや児童虐待の予防、地域における子育て支援への活用可能性について議論します。

Profile

研修会A-1欄に記載。

主要論文・著書

研修会A-1欄に記載。

シンポジウム2『看取りとマインドフルネス』

 

座長

熊野 宏昭

早稲田大学人間科学学術院教授

 このシンポジウムは、大会テーマである「全人的なマインドフルネスの構築に向けて:子育てから看取りまで」に沿って計画された、子育てと看取りに関わるシンポジウムの後半になります。全ての人にとっての一大事である生死の問題を、このように実践的で、自分事として取り組むことのできるテーマとして設定された井上ウィマラ大会長と、ご登壇いただける笹良剛史先生、葛西賢太先生に心からの感謝を申し上げたいと思います。生を握りしめず、死を排除せず、それぞれをそのまま生きることに、マインドフルネスの実践がどのように関わるのか、シンポジストの先生方、フロアーの皆様と一緒に議論できることを楽しみにしております。

Profile

 東京大学大学院医学系研究科ストレス防御・心身医学(東京大学心療内科)助教授・准教授を経て、2009年4月から早稲田大学人間科学学術院教授。日本マインドフルネス学会前理事長、日本認知・行動療法学会元理事長、日本不安症学会元副理事長、他を歴任。医師と心理師双方の世界に身を置いて、患者が主体的に病気を治し健康を維持増進できる医療の実現を目指して、教育・研究・臨床を続けてきた。
 マインドフルネスとの関わりとしては、幼少時、生死の境界に脅かされる夢を何度も見たことが源流となり、17歳の時にヨガを始め、その後、1992年より13年間自律訓練法を実践し、2005年からマインドフルネス瞑想の実践を続けてきた。異なる生命が、境界を保ったまま「他人の体験」をすることで、どう共に変わることができるのかが、現在の関心事である。

主要論文・著書

ストレスに負けない生活(ちくま新書)、マインドフルネスそしてACTへ(星和書店)
新世代の認知行動療法(日本評論社)、瞑想と意識の探求(サンガ新書)

Uchida T, Takahashi T, Sugiyama F, Kikai T, Nitta Y, Kumano H, 2022, Effect of a Mindfulness-Based Intervention on Self-Compassionate Behaviors: A Randomized Controlled Trial, Psychological Reports, 126(6), 2757-2788.

Takahashi T, Kikai T, Sugiyama F, Kawashima I, Kuroda A, Usui K, Maeda W, Uchida T, Guan S, Oguchi M, Kumano H. Changes in Mind-Wandering and Cognitive Fusion Through Mindfulness Group Therapy for Depression and Anxiety. Journal of Cognitive Psychotherapy 34(2):162-176, 2020.

Takahashi T, Sugiyama F, Kikai T, Kawashima I, Guan S, Oguchi M, Uchida T, Kumano H. Changes in depression and anxiety through mindfulness group therapy in Japan: the role of mindfulness and self-compassion as possible mediators. Biopsychosoc Med. 2019 Feb 18;13:4. doi: 10.1186/s13030-019-0145-4. eCollection 2019.

Ledesma D, Kumano H: Mindfulness-based stress reduction and cancer: a metaanalysis. Psychooncology. 2009 Jun;18(6):571-9.


葛西 賢太

上智大学大学院実践宗教学研究科死生学専攻教授
同大学グリーフケア研究所所員

話題提供2

「スピリチュアルケアとその教育から」

 私は上智大学で「グリーフケア」「スピリチュアルケア」という傾聴実践をする人びとの養成に取り組んでいます。「臨床牧会教育」という、欧米でチャプレンという傾聴者を養成するための方法論を用いています。この方法は、傾聴者を目指す人が、他者を理解するために自分自身を掘り下げて知るためのグループワークを重ねていくというもので、ちょうど一世紀前に、牧師を訓練するプログラムとして生まれました。今回は、この養成教育の中にマインドフルネスがどう組み込まれているかにも触れながらおはなしいたします。なお、養成教育については今夏『耳をととのえる』という本を著しました。ご関心あればお手にとっていただけますとうれしいです。

Profile

上智大学大学院実践宗教学研究科死生学専攻教授。同大学グリーフケア研究所所員。チャプレン研究会主宰。公認心理師。東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化専攻修了、上越教育大学学校教育学部助手、宗教情報センター研究員を経て、現職。博士(文学、東京大学)。
大学院およびグリーフケア研究所で、傾聴者養成に関わる演習科目等を担当。とくに依存症回復と宗教の関わりの研究、そして、傾聴者養成の方法論とその国際比較の研究に、現在取り組んでいる。趣味は、散歩とステアクライミング。

主要論文・著書

編著書
『耳をととのえる――上智大学での傾聴の学び』上智大学出版、『ケアとしての宗教』(共編著)明石書店、『現代瞑想論--変性意識がひらく世界』春秋社、『断酒が作り出す共同性--アルコール依存からの回復を信じる人々』世界思想社など。
訳書
『神秘的経験の諸相--二一世紀の研究と展望』春秋社、『アルコホーリクス・アノニマスの歴史--酒を手ばなした人びとをむすぶ』明石書店など。