講演情報

[AO-02]薬剤師および登録販売者を対象にしたセルフメディケーション支援を阻害する要因抽出と教育プログラムの検証

上田 昌宏1, 串畑 太郎1, 長谷川 拓哉1, 清水 忠2 (1.摂南大学薬学部, 2.兵庫医科大学薬学部)
【目的】薬剤師および登録販売者が行うセルフメディケーション支援の取組みは、現状では十分に浸透しておらず、支援体制や実践的な関与が限定的であり、教育体制も整っていないとの指摘もある。本研究では、症例に基づきOTC医薬品をエビデンスに沿って選択するワークショップを実施し、セルフメディケーション支援における阻害要因を抽出するとともに、教育プログラムとしての有用性を評価することを目的とした。
【方法】2025年3月に薬剤師・登録販売者を対象に180分のワークショップを実施した。プログラム内では、セルフメディケーション支援の阻害要因に関するグループ討議を行い、その際に得られた録音音声データを後日内容分析し、阻害要因を抽出した。さらに、ワークショップ前後に、支援に対する意識および実践的な関与(症状判断、OTC医薬品の推奨、受診勧奨、情報評価・活用)に関する自己評価アンケート(5件法)を実施し、Wilcoxonの順位和検定で解析した(有意水準:0.05)。
【結果】参加者は32名(解析率100 %)であった。内容分析の結果、主要な阻害要因として「OTC医薬品に関する知識不足」「価格の高さ」「患者情報の不足」の3点が抽出された。アンケート結果では、支援の意識(プレ:4.3→ポスト:4.7)、症状判断(2.9→3.7)、OTC推奨(3.3→3.9)、受診勧奨(3.6→4.0)、情報評価(2.8→3.6)、情報活用(2.8→3.0)の全項目で有意な向上が認められた(いずれもp<0.01)。
【考察】参加者の多くが、知識や患者情報の不足を認識しており、今後は知識向上および患者情報の抽出についての教育支援が必要と考えられる。また、参加者の支援への意識や実践的な関与への自信が有意に向上したことから、本プログラムは支援の推進に効果的なプログラムである可能性が示唆された。ただし、支援意識の高い参加者に限られている点や短期的な効果のみの評価である点が研究の限界として挙げられる。