講演情報
[AO-06]大規模医療情報による腎排泄型薬剤バラシクロビルの過量投与の実態調査
○鈴木 すみれ1,2, 近藤 悠希1, 佐藤 香帆1, 坂﨑 友香1, 富永 佳子3, 佐藤 浩二4, 石塚 洋一1 (1.熊本大学大学院 生命科学研究部 臨床薬理学分野, 2.(株)なの花東北 事業部, 3.新潟薬科大学 薬学部 社会薬学研究室, 4.新潟薬科大学 薬学部 衛生化学研究室)
【目的】バラシクロビル(以下、VACV)は腎排泄型薬剤であり、急性腎障害や中毒性脳症の回避の観点から、腎機能に応じた適切な用量設定が不可欠である。その一方で、本邦では適切な用量設定が実施されずに生じた過量投与と関連する有害事象の報告が散見され、適正使用の実態は不明である。本研究では、全国の医療機関から収集された大規模医療情報を用いて、腎機能に応じたVACV適正使用の実態を明らかにすることを目的とした。
【方法】本研究はMDV株式会社が保有するレセプト・臨床検査値情報より、腎機能が推定可能な18歳以上の患者1,614,465名のデータを用い、このうち、2022年10月から2024年9月にVACVが処方された患者6764名を解析対象とした。主要評価項目は、VACV投与量を腎機能別の推奨投与量と比較して不適切な処方の割合とした。
【結果】VACVの処方回数7901回のうち、過量投与は3.0%(235回)であった。過量投与症例では、適正投与量症例と比較し、年齢(中央値:83歳)ならびに女性の割合が有意に高かった。調剤状況別の過量投与の割合は、入院:2.6%(63回)、院内調剤(外来):3.3%(44回)、院外調剤:3.1%(128回)であった。さらに、減量が必要な腎機能低下患者における過量投与の割合は、全体で14.1%であり、調剤状況別では入院と比して、院内調剤(外来)ならびに院外調剤で有意に高かった(入院:10.1%、院内調剤:16.9%、院外調剤:16.4%)。
【考察】腎機能検査値が利用可能な状況下においてもVACVの不適切投与が認められた。特に腎機能低下例が多い高齢者、体格が小さく糸球体濾過量が低値となりがちな女性で過量投与が多く認められた。また、入院患者よりも外来患者で過量投与例が多く、特に注意が必要と考えられた。安全な薬物療法の実施のために、高齢者や外来処方時において腎機能に基づく処方監査のさらなる強化が必要である。
【方法】本研究はMDV株式会社が保有するレセプト・臨床検査値情報より、腎機能が推定可能な18歳以上の患者1,614,465名のデータを用い、このうち、2022年10月から2024年9月にVACVが処方された患者6764名を解析対象とした。主要評価項目は、VACV投与量を腎機能別の推奨投与量と比較して不適切な処方の割合とした。
【結果】VACVの処方回数7901回のうち、過量投与は3.0%(235回)であった。過量投与症例では、適正投与量症例と比較し、年齢(中央値:83歳)ならびに女性の割合が有意に高かった。調剤状況別の過量投与の割合は、入院:2.6%(63回)、院内調剤(外来):3.3%(44回)、院外調剤:3.1%(128回)であった。さらに、減量が必要な腎機能低下患者における過量投与の割合は、全体で14.1%であり、調剤状況別では入院と比して、院内調剤(外来)ならびに院外調剤で有意に高かった(入院:10.1%、院内調剤:16.9%、院外調剤:16.4%)。
【考察】腎機能検査値が利用可能な状況下においてもVACVの不適切投与が認められた。特に腎機能低下例が多い高齢者、体格が小さく糸球体濾過量が低値となりがちな女性で過量投与が多く認められた。また、入院患者よりも外来患者で過量投与例が多く、特に注意が必要と考えられた。安全な薬物療法の実施のために、高齢者や外来処方時において腎機能に基づく処方監査のさらなる強化が必要である。
