講演情報
[AO-08]高齢の腎機能低下患者においてGLIM基準のカットオフ値を参考とした低BMIは処方提案の際の簡便な指標のひとつとなるか
○八尾 篤子1, 吉木 大介1, 中井 洋平2 (1.(株)メディカル一光 フラワー薬局 土橋店, 2.しらゆり薬局 枚方店)
【目的】過量投与による有害事象を防ぐために、薬剤師が患者の腎機能を把握し、薬用量調節の提案が重要である。一方で、高齢患者では個々の体格差が反映されないeGFRによる判断だけでは不十分と考えられる。現在の腎機能評価方法は煩雑な計算式が多く、より簡便な指標により適切な薬物療法を提供することを目的に、腎機能低下傾向の高齢患者を対象としてGLIM基準に着目した低BMIは薬用量変更数を増加させるか検証した。
【方法】2021年1月から2024年12月までの期間に当薬局で腎機能に関連する処方提案をした70歳以上かつeGFR<60(mL/分/1.73m2)の患者を対象とした。同一患者の2回目以降の処方提案と、BMI≧35は除外した。GLIM基準のカットオフ値を参考として、BMI<20を低BMIと定義した。Primary outcomeは薬用量変更の発生数とした。低BMI群と高BMI群に分けて薬用量変更を比較した。また、ロジスティック回帰分析による多変量解析を行い、薬用量変更の独立した影響因子を検討した。解析にはEZRを用い、統計学的有意水準はP<0.05とした。
【結果】解析対象55例のうち低BMI群は23例(41.8%)、高BMI群は32例(58.2%)であった。患者背景の比較ではeGFR、年齢、性別、病歴に群間差はなく、低BMI群:高BMI群で、30≦eGFR<44(60.9%:28.1% P=0.026)、45≦eGFR<60(21.7%:50.0% P=0.049)、BMI(18.56±1.67:24.63±3.07 P<0.001)で有意差があった。薬用量変更を31例(56.3%)に認め、低BMI群で78.3%、高BMI群40.6%と低BMI群で薬用量変更数が有意に多かった(P=0.007)。多変量ロジスティック回帰分析の結果、低BMIは独立した影響因子で薬用量変更と有意に関連していた。(調整済オッズ比〔AOR〕:5.47、95%CI:1.49-20.00、P=0.01)
【考察】腎機能低下傾向の高齢患者で低BMI群の薬用量変更数の有意な増加が示された。GLIM基準のカットオフ値を参考とした低BMIは処方提案の際の簡便な指標のひとつとなる可能性がある。
【方法】2021年1月から2024年12月までの期間に当薬局で腎機能に関連する処方提案をした70歳以上かつeGFR<60(mL/分/1.73m2)の患者を対象とした。同一患者の2回目以降の処方提案と、BMI≧35は除外した。GLIM基準のカットオフ値を参考として、BMI<20を低BMIと定義した。Primary outcomeは薬用量変更の発生数とした。低BMI群と高BMI群に分けて薬用量変更を比較した。また、ロジスティック回帰分析による多変量解析を行い、薬用量変更の独立した影響因子を検討した。解析にはEZRを用い、統計学的有意水準はP<0.05とした。
【結果】解析対象55例のうち低BMI群は23例(41.8%)、高BMI群は32例(58.2%)であった。患者背景の比較ではeGFR、年齢、性別、病歴に群間差はなく、低BMI群:高BMI群で、30≦eGFR<44(60.9%:28.1% P=0.026)、45≦eGFR<60(21.7%:50.0% P=0.049)、BMI(18.56±1.67:24.63±3.07 P<0.001)で有意差があった。薬用量変更を31例(56.3%)に認め、低BMI群で78.3%、高BMI群40.6%と低BMI群で薬用量変更数が有意に多かった(P=0.007)。多変量ロジスティック回帰分析の結果、低BMIは独立した影響因子で薬用量変更と有意に関連していた。(調整済オッズ比〔AOR〕:5.47、95%CI:1.49-20.00、P=0.01)
【考察】腎機能低下傾向の高齢患者で低BMI群の薬用量変更数の有意な増加が示された。GLIM基準のカットオフ値を参考とした低BMIは処方提案の際の簡便な指標のひとつとなる可能性がある。
