講演情報

[AP-07-A]『腎排泄薬チェックシステム』の処方鑑査への介入効果の検討

藤原 想太1, 望月 一司2, 五来 大児2, 野口 和彦2, 山本 真敬2, 神田 千尋2 (1.(株)アイセイ薬局 情報システム部, 2.在宅推進部)
【目的】マイナ保険証の普及により薬剤師は検査値の理解と活用する力がより一層求められるようになったと考えられる。中でも高齢化社会では腎機能に応じた薬剤投与量の鑑査は重要な項目だが、患者個々の腎機能と投与量の鑑査を行う仕組みが導入されているレセコンは少ない。そこで独自に開発した『腎排泄薬チェックシステム』で腎機能低下時に注意が必要な薬剤一覧をリストアップし、鑑査精度の向上を計ってきた。当システムを活用することで、鑑査の質がどれだけ向上したか検証する。
【方法】『腎排泄薬チェックシステム』を導入した山梨県内のアイセイ薬局グループ店舗(以降アイセイと言う)における規格毎の調剤数量割合を山梨県全体と比較した。アイセイはレセプトデータを、山梨県はNDBオープンデータをサンプルとした。対象は日本腎臓病薬物療法学会の「腎機能低下時に最も注意が必要な薬剤投与量一覧」のうち、高リスク群かつ両群で調剤実績のある薬剤(35品目)とし、有意差検定はフィッシャー検定を用いた。(P値< 0.05)また、重複投薬・相互作用等防止加算(残薬以外)(以下重複と言う)の算定割合の比較により、システム活用による薬剤師の鑑査精度向上への寄与を可視化した。
【結果】35品目のうち、有意に低用量規格の調剤数量が少なかった薬剤は7品目だった。また、低用量規格の調剤数量が多かった薬剤は、山梨県は15品目、アイセイは20品目、両群共通は11品目だった。重複の算定割合(対受付回数)は全国の0.13%に対し、0.24%と高水準であった。
【考察】アイセイでは35品目のうち約6割が低用量規格を多く調剤され、重複の算定割合が有意に高かったことより、『腎排泄薬チェックシステム』は腎機能低下患者の鑑査でより注意を促す効果はあることが示唆された。また、有意差がついた品目が少ないことより、山梨県全体でも疑義照会等で用量の適正化が為されていたことが示唆された。