講演情報
[AP-08-B]高齢者介護施設における多剤服用に対する減薬提案の介入効果
○野村 成一1, 服部 翔2, 金原 健太2, 小竹 武3 (1.(株)フロンティア フロンティア薬局秋桜店, 2.(株)フロンティア 大阪支店, 3.近畿大学薬学部)
【目的】単なる多剤服用はポリファーマシーの定義からは外れるが、複数の慢性疾患に罹りやすい高齢者においては、処方の変更が相互作用やアドヒアランス低下に伴う有害事象が起こる要因になり得る。中には、介護施設入居時から多剤服用かつ意図不明な処方や漫然投与と考えられる処方に遭遇することがある。今回、介護施設入居者において施設看護師と連携し減薬提案を行い、その介入効果について減薬後の経過及び医療費削減の視点から解析したので報告する。
【方法】介護施設入居者全員の処方内容を精査し、減薬提案の候補となる薬剤について施設看護師と事前に相談し、訪問診療同行前に医療機関へトレーシングレポートにて減薬提案をした。減薬後は一定期間経過を追跡し、減薬による薬剤費削減効果の評価を行った。
【結果】X年3月から(X+1)年2月までの1年間で施設入居者65名のうち、当薬局から減薬提案したのは合計22人で、そのうち、17人が6剤以上服用していた。減薬提案後、1人は減薬されなかったが、他は提案通り減薬され、減薬提案の反映率は92.5%であった。服用薬剤調整支援料1を算定できたのは7人であった。減薬提案した薬剤の薬効群としては消化性潰瘍用剤が27.5%、次いで解熱鎮痛消炎剤が20.0%であった。今回の減薬提案に伴う薬剤費削減効果は、減薬から(X+1)年2月までの期間において処方が再開されなかった薬剤を対象に集計すると2024年度の薬価ベースで242,330円であった。
【考察】多剤服用の解消が患者の健康状態に不利益を生じさせないことが重要であるが、今回の結果から、一時的な症状寛解及び副作用予防の消化性潰瘍用剤や解熱鎮痛消炎剤などが漫然と継続処方されていることが多剤服用の可能性を高めており、処方ごとに患者のアセスメントを実施し、薬物療法の必要性を吟味する必要がある。施設看護師との密な情報共有が、入居者に対しより良い薬物治療かつ医療費の抑制に貢献できることが示唆された。
【方法】介護施設入居者全員の処方内容を精査し、減薬提案の候補となる薬剤について施設看護師と事前に相談し、訪問診療同行前に医療機関へトレーシングレポートにて減薬提案をした。減薬後は一定期間経過を追跡し、減薬による薬剤費削減効果の評価を行った。
【結果】X年3月から(X+1)年2月までの1年間で施設入居者65名のうち、当薬局から減薬提案したのは合計22人で、そのうち、17人が6剤以上服用していた。減薬提案後、1人は減薬されなかったが、他は提案通り減薬され、減薬提案の反映率は92.5%であった。服用薬剤調整支援料1を算定できたのは7人であった。減薬提案した薬剤の薬効群としては消化性潰瘍用剤が27.5%、次いで解熱鎮痛消炎剤が20.0%であった。今回の減薬提案に伴う薬剤費削減効果は、減薬から(X+1)年2月までの期間において処方が再開されなかった薬剤を対象に集計すると2024年度の薬価ベースで242,330円であった。
【考察】多剤服用の解消が患者の健康状態に不利益を生じさせないことが重要であるが、今回の結果から、一時的な症状寛解及び副作用予防の消化性潰瘍用剤や解熱鎮痛消炎剤などが漫然と継続処方されていることが多剤服用の可能性を高めており、処方ごとに患者のアセスメントを実施し、薬物療法の必要性を吟味する必要がある。施設看護師との密な情報共有が、入居者に対しより良い薬物治療かつ医療費の抑制に貢献できることが示唆された。
