講演情報
[AP-09-C]電子的PRO-CTCAEを活用したがん薬物療法における副作用モニタリングによるフォローアップの変化
○本多 絵梨1, 岩見 恭介1, 松尾 宗一郎2, 邑瀬 誠2, 柏原 道志3, 竹部 亨4, 山下 恵4, 大谷 圭司4, 佐々木 愛5, 松井 洸5, 山口 浩5, 野村 和彦5 (1.(株)杏林堂薬局 聖隷住吉病院前店, 2.(株)杏林堂薬局 調剤・漢方営業本部, 3.聖隷浜松病院薬剤部, 4.(株)カケハシ, 5.(株)ツルハホールディングス)
【目的】がん化学療法において、服薬指導後の体調変化に関する継続的な把握は、従来の薬局からの働きかけのみでは十分でないケースも存在する。本研究では、電子的PRO-CTCAEをLINEミニアプリ(以下「アプリ」)上で取得することで、有害事象の把握や患者満足度の向上を図った。加えて、フォローアップ(FU)およびトレーシングレポート(TR)の量的変化について検討した。
【方法】2024年10月から2025年1月にかけて、杏林堂薬局聖隷住吉病院前店において、がん化学療法を受ける患者を対象に、週1回・全24回配信される電子的PRO-CTCAE質問票への回答を依頼した。回答率、有害事象の報告状況、FUの実施件数、および病院へのTR件数を評価した。本研究は国際医療福祉大学千葉地区倫理審査委員会の承認を得たうえで実施した。(承認番号24-CC-013)
【結果】44名の患者が登録され、359通の配信に対し307通の回答が得られた(回答率86%)。アプリ活用前は化学療法導入時の対応が中心だったが、活用後は継続患者からの回答により有害事象の報告が増え、FUおよびTRの件数も増加した。活用前は月平均FU2.8件、TR2.8件であったのに対し、活用後はそれぞれ5.4件、4.6件に増加した。本研究への非参加群と比較して、継続処方患者への対応件数、1患者あたりのFU件数も多かった。参加患者からは来局時に「体調の振り返りになった」「処方提案が安心につながった」との意見が寄せられた。
【考察】従来、継続処方中の患者に対しては、有害事象の把握や適切なフォローアップが実施されにくい実態があったが、本研究ではアプリを介した自己報告により、こうした患者からの情報が得られ、それを契機としたFUが実施可能となった。特に、FUおよびTRの件数の増加は、薬剤師の介入機会の拡大を示唆する結果と考えられる。今後は、患者の主観的報告を契機とした継続的な薬学的介入を通じ、さらなる患者満足度の向上が期待される。
【方法】2024年10月から2025年1月にかけて、杏林堂薬局聖隷住吉病院前店において、がん化学療法を受ける患者を対象に、週1回・全24回配信される電子的PRO-CTCAE質問票への回答を依頼した。回答率、有害事象の報告状況、FUの実施件数、および病院へのTR件数を評価した。本研究は国際医療福祉大学千葉地区倫理審査委員会の承認を得たうえで実施した。(承認番号24-CC-013)
【結果】44名の患者が登録され、359通の配信に対し307通の回答が得られた(回答率86%)。アプリ活用前は化学療法導入時の対応が中心だったが、活用後は継続患者からの回答により有害事象の報告が増え、FUおよびTRの件数も増加した。活用前は月平均FU2.8件、TR2.8件であったのに対し、活用後はそれぞれ5.4件、4.6件に増加した。本研究への非参加群と比較して、継続処方患者への対応件数、1患者あたりのFU件数も多かった。参加患者からは来局時に「体調の振り返りになった」「処方提案が安心につながった」との意見が寄せられた。
【考察】従来、継続処方中の患者に対しては、有害事象の把握や適切なフォローアップが実施されにくい実態があったが、本研究ではアプリを介した自己報告により、こうした患者からの情報が得られ、それを契機としたFUが実施可能となった。特に、FUおよびTRの件数の増加は、薬剤師の介入機会の拡大を示唆する結果と考えられる。今後は、患者の主観的報告を契機とした継続的な薬学的介入を通じ、さらなる患者満足度の向上が期待される。
