講演情報
[AP-10-A]高齢患者における抗コリン薬リスクスケールと便秘薬処方の関連:調剤レセプトデータを用いた横断研究
○高橋 渉1,2, 高橋 祐介1, 田中 博之2, 合田 怜香2, 石井 敏浩2 (1.クオール(株) 専門教育部, 2.東邦大学薬学部 実践医療薬学研究室)
【目的】高齢者における抗コリン薬の使用は、認知機能障害、尿閉、口渇、便秘などの副作用リスクを高めることが知られている。2024年5月には、日本版抗コリン薬リスクスケール(JARS)が公表され、抗コリン薬のリスク評価に活用されつつあるが、その臨床的妥当性は明らかでない。本研究では、レセプトデータを活用し、総抗コリン薬負荷と便秘薬処方の関連性を明らかにすることを目的とした。
【方法】2024年11月~12月の2か月間に、当薬局グループにおいてかかりつけ薬剤師が設定されていた65歳以上の患者の処方情報を抽出した。28日以上の処方を慢性処方と定義し、併用薬剤数4~9剤の患者に限定してJARSに基づく総抗コリン薬負荷を算出した。JARSにより算出した総抗コリン薬負荷(0点、1点、2点、3点以上)を説明変数、便秘薬処方を目的変数として、ロジスティック回帰を行った。共変量には年齢、性別、併用薬剤数を使用した。
【結果】対象患者は12,502名で平均年齢は80.9±7.3歳、女性が61.5%を占めた。総抗コリン薬負荷別の分布は0点60.5%(7,557名)、1点28.2%(3,531名)、2点6.2%(772名)、3点以上5.1%(642名)であった。総抗コリン薬負荷0点を基準とした便秘薬処方のオッズ比は、1点0.88(95%CI: 0.80-0.97)、2点0.87(95%CI: 0.73-1.04)、3点以上1.31(95%CI: 1.10-1.57)であった。
【考察】本研究では、JARSによる総抗コリン薬負荷3点以上の患者において、便秘薬処方との有意な関連が認められた。これは高い総抗コリン薬負荷が便秘リスクと関連することを示しており、特に高負荷群における便秘リスク管理の重要性が示唆された。抗コリン作用による便秘発現には一定の閾値が存在する可能性が考えられ、JARSの臨床的妥当性が支持された。
【方法】2024年11月~12月の2か月間に、当薬局グループにおいてかかりつけ薬剤師が設定されていた65歳以上の患者の処方情報を抽出した。28日以上の処方を慢性処方と定義し、併用薬剤数4~9剤の患者に限定してJARSに基づく総抗コリン薬負荷を算出した。JARSにより算出した総抗コリン薬負荷(0点、1点、2点、3点以上)を説明変数、便秘薬処方を目的変数として、ロジスティック回帰を行った。共変量には年齢、性別、併用薬剤数を使用した。
【結果】対象患者は12,502名で平均年齢は80.9±7.3歳、女性が61.5%を占めた。総抗コリン薬負荷別の分布は0点60.5%(7,557名)、1点28.2%(3,531名)、2点6.2%(772名)、3点以上5.1%(642名)であった。総抗コリン薬負荷0点を基準とした便秘薬処方のオッズ比は、1点0.88(95%CI: 0.80-0.97)、2点0.87(95%CI: 0.73-1.04)、3点以上1.31(95%CI: 1.10-1.57)であった。
【考察】本研究では、JARSによる総抗コリン薬負荷3点以上の患者において、便秘薬処方との有意な関連が認められた。これは高い総抗コリン薬負荷が便秘リスクと関連することを示しており、特に高負荷群における便秘リスク管理の重要性が示唆された。抗コリン作用による便秘発現には一定の閾値が存在する可能性が考えられ、JARSの臨床的妥当性が支持された。
