講演情報

[DS3]認知症の早期発見・早期対処における薬局の役割

島田 裕之 (国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター センター長)
生活習慣等の可変因子が高齢期における認知症の危険因子として重要であることが明らかになるにつれ、認知症の危険因子を削減することによる発症遅延の取り組みが行われるようになってきた。具体的には運動習慣の確立、認知的活動の促進、適正な食・飲酒習慣と睡眠、社会的活動、禁煙等が潜在的に有効な介入手段とされている。これらの介入は、本人が自らの意思で開始して継続する必要があり、予防の必要性を知る機会がなければ介入の開始が難しくなるため、適切なスクリーニングと対象者への結果のフィードバックが必須である。認知症のスクリーニングとしては、認知機能検査、各種アンケート調査が1次スクリーニング検査として実施され、これらで問題が認められた場合には、詳細な神経心理学的検査や脳画像や血液検査等が適用される。認知症の予防を目的としたスクリーニングは、病態が顕在化していない段階での実施が必要であり、自宅や地域の施設(薬局や公民館等)での展開が期待されている。近年では、スマートフォンやタブレットを用いて実施可能な認知機能検査が複数存在し、それらを活用することで手軽に測定が可能となった。ただし、重要なのは結果の解釈であり、早期の認知機能低下を把握することができる検査内容であり、年齢標準値から低下のカットオフ値が明確に示された検査を利用する必要がある。


略歴
2003年 北里大学大学院医療系研究科臨床医学リハビリテーション医学専攻博士課程卒
2003年 東京都老人総合研究所研究員
2005年 Prince of Wales医学研究所客員研究員
2006年 東京都老人総合研究所研究員
2010年 国立長寿医療研究センター室長
2014年 国立長寿医療研究センター予防老年学研究部長
2015年 名古屋大学未来社会創造機構客員教授(兼任:現在終了)
2015年 信州大学大学院総合医理工学研究科客員教授(兼任)
2019年 国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター長
2024年 東京都立大学客員教授(兼任)
2025年 名古屋大学連携教授(兼任)

所属学会
日本老年療法学会(理事長)、日本老年医学会(評議員)、日本サルコペニア・フレイル学会(理事)、日本認知症予防学会(評議員)、日本転倒予防学会(評議員)、日本介護予防・健康づくり学会(理事)