講演情報
[教育講演]小児在宅医療と医療的ケア児支援の現状と課題
○土畠 智幸 (医療法人稲生会 理事長/北海道医療的ケア児等支援センター)

日常生活の中で医行為を必要とする「医療的ケア児」は、全国に約2万人(人口1万人あたり1.5人)いるとされる。2021年度に医療的ケア児支援法が施行され、全国で支援者が増加し、47都道府県すべてに医療的ケア児支援センターが設置された。2022年度の診療報酬改定では、保険薬局において医療的ケア児の状態に合わせた薬学的管理や指導を行った場合の「小児特定加算」が新設されている。
演者は、2006年から北海道札幌市で小児の訪問診療を開始し、2013年には医療的ケア児者を対象とした在宅療養支援診療所を開設した。2015年度からは、北海道小児等在宅医療連携拠点事業(通称 YeLL いぇーる)を開始、2022年度からは北海道医療的ケア児等支援センターの運営も行っている。北海道各地の医療的ケア児家族や支援者からよせられる相談については、保育・教育に関するものが多くなっている。
埼玉県の調査では、医療的ケア児の約6割が重症心身障害児とされるが、二分脊椎で導尿が必要であったり、1型糖尿病でインスリン注射が必要であったりするものの、知的や身体に障害のない「狭義の医療的ケア児」が約3割いるとされ、こういった児の多くは特別支援学校ではなく地域の小中学校に通学するようになっている。また、発達障害などによる強度行動障害がある児も1割弱いるとされ、「医療的ケア児」と言っても薬剤指導管理に求められる内容は病態によって異なる。重症心身障害児や約1割いるとされる神経筋疾患等の人工呼吸器使用児は訪問診療を利用することもあるが、小児の訪問診療を行う医療機関が無い地域も多い。大学病院や小児病院の外来通院をする児が多く、病院近隣の保険薬局を利用することも多いため、在宅患者訪問薬剤指導を受けていない児も多い。
小児期から成人期への「移行期」に関する課題もある。主治医が小児科医から成人診療科の医師や在宅医に変更になることがあるが、医療的ケア児者の一部は病態が複雑で、てんかんの合併も多く、こういった患者の薬剤管理に慣れていない医師が主治医となって処方することもあるため、調剤薬局での薬剤指導管理が重要となる。
小児在宅医療と医療的ケア児支援の現状と課題を述べ、保険薬局に期待されることについて述べたい。
【略歴】
2003年 北海道大学医学部卒 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院小児科
2013年 医療法人稲生会 理事長
2022年 北海道医療的ケア児等支援センター長
演者は、2006年から北海道札幌市で小児の訪問診療を開始し、2013年には医療的ケア児者を対象とした在宅療養支援診療所を開設した。2015年度からは、北海道小児等在宅医療連携拠点事業(通称 YeLL いぇーる)を開始、2022年度からは北海道医療的ケア児等支援センターの運営も行っている。北海道各地の医療的ケア児家族や支援者からよせられる相談については、保育・教育に関するものが多くなっている。
埼玉県の調査では、医療的ケア児の約6割が重症心身障害児とされるが、二分脊椎で導尿が必要であったり、1型糖尿病でインスリン注射が必要であったりするものの、知的や身体に障害のない「狭義の医療的ケア児」が約3割いるとされ、こういった児の多くは特別支援学校ではなく地域の小中学校に通学するようになっている。また、発達障害などによる強度行動障害がある児も1割弱いるとされ、「医療的ケア児」と言っても薬剤指導管理に求められる内容は病態によって異なる。重症心身障害児や約1割いるとされる神経筋疾患等の人工呼吸器使用児は訪問診療を利用することもあるが、小児の訪問診療を行う医療機関が無い地域も多い。大学病院や小児病院の外来通院をする児が多く、病院近隣の保険薬局を利用することも多いため、在宅患者訪問薬剤指導を受けていない児も多い。
小児期から成人期への「移行期」に関する課題もある。主治医が小児科医から成人診療科の医師や在宅医に変更になることがあるが、医療的ケア児者の一部は病態が複雑で、てんかんの合併も多く、こういった患者の薬剤管理に慣れていない医師が主治医となって処方することもあるため、調剤薬局での薬剤指導管理が重要となる。
小児在宅医療と医療的ケア児支援の現状と課題を述べ、保険薬局に期待されることについて述べたい。
【略歴】
2003年 北海道大学医学部卒 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院小児科
2013年 医療法人稲生会 理事長
2022年 北海道医療的ケア児等支援センター長
