講演情報

[教育講演]調剤報酬改定について

清原 宏眞 (厚生労働省 保険局 医療課 薬剤管理官)
令和8年の調剤報酬改定に向けての議論がこれから本格化していく。令和6年度の調剤報酬改定では、介護保険との同時改定でもあったことから在宅業務を厚く評価するとともに、地域の医薬品供給拠点としての薬局の体制評価を見直しや、かかりつけ機能を発揮して患者に最適な薬学的管理を行えるよう薬局・薬剤師業務の評価の見直しなどを行った。これらは今後の薬局・薬剤師が社会に求められる姿に対して積極的に評価したものと考えられ、この目的が着実に実現化に向かっているのかが大きな課題である。
 また、少子高齢化等による人口の構成変化や地域格差がより顕著となり、物価・賃金上昇基調が手堅く感じられる昨今、国民皆保険を維持し国民がより良い医療を受けられることを確保するには、限られた医療保険財源の中、より大きな視点をもって調剤報酬を考えていく必要がある。
 薬局にとっては、物価光熱費上昇、賃金引上げ、人材確保難など費用負担が増える一方、薬価差益の減少、医薬品の供給不安に伴う追加業務、業務の複雑化という厳しい現状となってきたと認識している。他方、全国的には外来患者数が減少に転じ一般診療所数の増加も収まってきた中、薬局数は増加傾向を維持したままである。詳細を見れば地域偏在が拡大している。
 医薬品が国民の健康に果たす役割は大変大きく、それを仲立ちする薬局・薬剤師の役割は非常に重要である。患者とその家族等にとって信頼できる薬局・薬剤師はどのようなものか、その理想に向かって調剤報酬上どう評価すれば良いか、皆様のお知恵を是非拝聴したい。


【略歴】
1996年 4月 厚生省入省(薬務局経済課 1997年度、1998年度薬価改定)
2009年 4月 厚生労働省保険局医療課長補佐(2010年度、2012年度薬価改定等)
2012年 4月 富山県庁出向(厚生部くすり政策課振興開発班長、翌年に同課長)
2014年 4月 厚生労働省医薬局安全対策課 課長補佐
2015年11月 厚生労働省医薬局審査管理課 課長補佐
2017年 7月 (独)医薬品医療機器総合機構(PMDA)新薬審査第五部長
2022年 6月 〃 審査マネジメント部長
2024年 7月 現職