講演情報
[教育講演]慢性腎臓病(CKD)における食事・栄養支援の実際~薬局薬剤師にむけた現場からのヒント~
○岡田 圭子 (株式会社サンキュードラッグ 管理栄養士)

慢性腎臓病(CKD)の栄養管理は、病期に応じて食事療法の内容が変化し、管理栄養士にとっても対応が難しい分野である。医療機関では主治医による栄養食事指導依頼書(栄養指導箋)において、検査所見や服薬状況とともに示されているエネルギーや各種栄養成分量に基づいて進めていくことになるが、患者の理解力、調理能力、経済状況、生活環境などを十分に把握することが欠かせない。実行可能性を見極めながら、患者とともに達成可能な目標を設定し、段階的かつ現実的に支援していくことを常に意識する。
たとえば、「塩分や糖分を控える」という内容は比較的理解されやすいが、「たんぱく質を制限しながらエネルギーを確保する」となると、高度な栄養知識と工夫が必要であるため、何を食べればよいかわからず、食事量が減って体重が減少し、かえって腎機能の悪化を招く患者も少なくない。加えて、「スイカが腎臓に良い」といった不確かな情報によりカリウムが上昇したり、「生野菜や果物は避けるべき」との誤解により栄養状態が悪化する例も多く見受けられる。
また、几帳面な患者が秤を用いてすべてを計量し、外食や人付き合いを避けてしまう例もあり、食事が本来持つ「楽しみ」の側面を損なってしまう場合もある。一方で、塩分制限をしっかり継続した高齢CKD患者において、腎機能を保持できた事例もある。このような事例からも、薬局薬剤師がまず塩分制限から支援を始めることは有効であり、必要に応じて管理栄養士と連携する視点も重要である。
検査所見上はCKDであっても、十分な病識を持っていない患者も一定数存在するが、eGFRやクレアチニンなどの検査値を活用して、病状の“見える化”を図ることも重要である。数値が安定しているのに「悪くなった」と思い込んでいる場合や、eGFRが徐々に低下しているのに危機感を持っていない患者などには、データに基づく声かけが有効である。数値の変化に気づき、患者の誤解や不安に寄り添いながら、適切な情報提供を行うという疾患教育は薬局薬剤師としても重要な役割といえる。
本講演では、CKD患者に対して管理栄養士が実際にどのように食事・栄養指導を行っているのかについて理解を深めることで、薬局薬剤師による支援の余地を探っていただく機会になることを期待する。
【略歴】
◆経歴
・九州女子短期大学卒業後、同大学に6年所属
・1991年~病院勤務(7年間)
・2000年~薬局勤務
・2021年 認定栄養ケア・ステーション スマイルサンキュー設立
・複数の診療所と契約し、外来・訪問栄養食事指導、短期集中予防サービス(通所・訪問)実施。地域ケア会議、講演、大学の学外講師も務める
◆資格
管理栄養士、在宅栄養専門管理栄養士・臨床栄養認定管理栄養士・病態栄養専門管理栄養士、介護支援専門員、福岡県糖尿病療養指導士、食品ロス削減推進サポーター、サルコペニア・フレイル指導士
◆所属学会
日本栄養士会、日本臨床栄養協会、日本在宅栄養管理学会(理事)、日本病態栄養学会、日本栄養改善学会
たとえば、「塩分や糖分を控える」という内容は比較的理解されやすいが、「たんぱく質を制限しながらエネルギーを確保する」となると、高度な栄養知識と工夫が必要であるため、何を食べればよいかわからず、食事量が減って体重が減少し、かえって腎機能の悪化を招く患者も少なくない。加えて、「スイカが腎臓に良い」といった不確かな情報によりカリウムが上昇したり、「生野菜や果物は避けるべき」との誤解により栄養状態が悪化する例も多く見受けられる。
また、几帳面な患者が秤を用いてすべてを計量し、外食や人付き合いを避けてしまう例もあり、食事が本来持つ「楽しみ」の側面を損なってしまう場合もある。一方で、塩分制限をしっかり継続した高齢CKD患者において、腎機能を保持できた事例もある。このような事例からも、薬局薬剤師がまず塩分制限から支援を始めることは有効であり、必要に応じて管理栄養士と連携する視点も重要である。
検査所見上はCKDであっても、十分な病識を持っていない患者も一定数存在するが、eGFRやクレアチニンなどの検査値を活用して、病状の“見える化”を図ることも重要である。数値が安定しているのに「悪くなった」と思い込んでいる場合や、eGFRが徐々に低下しているのに危機感を持っていない患者などには、データに基づく声かけが有効である。数値の変化に気づき、患者の誤解や不安に寄り添いながら、適切な情報提供を行うという疾患教育は薬局薬剤師としても重要な役割といえる。
本講演では、CKD患者に対して管理栄養士が実際にどのように食事・栄養指導を行っているのかについて理解を深めることで、薬局薬剤師による支援の余地を探っていただく機会になることを期待する。
【略歴】
◆経歴
・九州女子短期大学卒業後、同大学に6年所属
・1991年~病院勤務(7年間)
・2000年~薬局勤務
・2021年 認定栄養ケア・ステーション スマイルサンキュー設立
・複数の診療所と契約し、外来・訪問栄養食事指導、短期集中予防サービス(通所・訪問)実施。地域ケア会議、講演、大学の学外講師も務める
◆資格
管理栄養士、在宅栄養専門管理栄養士・臨床栄養認定管理栄養士・病態栄養専門管理栄養士、介護支援専門員、福岡県糖尿病療養指導士、食品ロス削減推進サポーター、サルコペニア・フレイル指導士
◆所属学会
日本栄養士会、日本臨床栄養協会、日本在宅栄養管理学会(理事)、日本病態栄養学会、日本栄養改善学会
