講演情報

[基調講演]2025年薬機法改正とは何だったのか-背景と狙い

城 克文 (前厚生労働省 医薬局 医薬局長)
本年5月21日、薬機法等の一部を改正する法律が公布された。
 この薬機法改正は、令和元年薬機法改正時に附則に定められた施行後5年の見直しを契機とするものではあるが、数年来の大きな課題である後発医薬品を中心とした医薬品の供給不安や、その一因となった製造・品質管理に関する不正事案の頻発等への対応を図るとともに、ドラッグラグ・ドラッグロスへの制度面での対応や、新規モダリティへのシフトをはじめとする創薬環境の大きな変化への対応、若年者において特に増加傾向にあるオーバードーズへの対策をはじめとする販売規制の見直しなど、医薬品をめぐる様々な社会課題への対応を総合的に進めることを目的とした、近年の薬機法改正には例を見ない大改正となった。

 今回の改正は、具体的には、
 1 医薬品等の品質及び安全性の確保の強化
 2 医療用医薬品等の安定供給体制の強化
 3 より活発な創薬が行われる環境の整備
 4 国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化等
の4項目を大きな柱とするものではあるが、これらの項目はそれぞれ相互に深く関連しており、また、一つ一つは小さくとも将来的な改革進展・発展の足掛かりとなり得る項目がきちんと位置付けられている。

 本講演では、報道等にあまり取り上げられない専門的・技術的な事項も含め、今回の薬機法改正法案の取りまとめに至る背景やその狙いはどのようなものであったのか、また、現在われわれが直面している様々な課題にどのように対処しようとしているのか、等について、可能ならば薬局の将来像を考える際の参考となるような項目を念頭に、解説を試みたい。


【略歴】
昭和40年(1965年)6月生まれ
大阪府出身
東京大学法学部卒業

職歴
平成元 4 厚生省 採用
21. 7 厚生労働省保険局総務課医療費適正化対策推進室長
23. 7 内閣府参事官(社会システム担当)(政策統括官(経済社会システム担当)付)
25. 7 厚生労働省医政局経済課長
27.10 厚生労働省保険局医療介護連携政策課長
28. 6 厚生労働省保険局総務課長
29. 7 社会保険診療報酬支払基金審議役(企画関係担当)
令和元.7 内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付)
(併:内閣府本府日本医療研究開発機構・医療情報基盤担当室次長)
(命:内閣官房健康・医療戦略室次長)
2. 8 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 理事
4. 7 厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官
5. 7 厚生労働省医薬・生活衛生局長
5. 9 厚生労働省医薬局長
7. 7 退官