講演情報

[LS2-1]多汗症治療の新たな一歩:アポハイドローションの可能性と薬剤師の役割

稲澤 美奈子 (小杉町クリニック 院長)
原発性手掌多汗症は、日常生活や社会活動に大きな支障をきたす疾患である。2023年に手掌多汗症に対しては日本初の外用抗コリン薬であるアポハイドローション(オキシブチニン塩酸塩)が保険適用となった。それまで手掌多汗症に対する保険適用の外用剤はなかったことから、治療選択肢が拡がり、これは多くの患者にとって福音となった。一方で、本剤の適切な使用には副作用の防止や使用部位の限定などの注意点が存在するため、外用指導が必須である。本講演では手掌多汗症患者の実際の困り事やその症状、QOLの低下について解説する他、アポハイドローションを処方された患者に対する薬剤師に求められる指導内容について紹介したい。具体的には、薬剤師の先生方にお願いしたい指導内容(使用時刻、適用範囲、使用量、副作用、手洗いのタイミング、他薬剤との併用注意など)と使用継続率などについて紹介する。発売2年以上が経過するアポハイドローション️を当院で処方した経験から、患者が使用方法や副作用への不安を抱えることが使用継続率の低下に多少つながっている可能性が考えられる。薬剤師の先生方の介入が治療満足度と継続率の向上に寄与する可能性がある。


2006 金沢大学医学部卒業
2006 京都第一赤十字病院臨床研修医
2008 京都府立医科大学病院後期専攻医
2010 済生会川口総合病院 医員
2012 東京医科歯科大学 医員
2017 東京医科歯科大学 助教、外来医長
2020 医療法人YISM 小杉町クリニック開院
2022 医学博士(東京医科歯科大学大学院博士課程修了)
2024 東京医科歯科大学(東京科学大学)皮膚科 臨床講師

資格
医学博士
日本皮膚科学会皮膚科専門医

所属学会
日本皮膚科学会
日本アレルギー学会
日本臨床皮膚科医会
日本発汗学会