講演情報

[LS4]AIとデータ活用が支える、これからの地域に根ざし信頼される薬局とは?

立石 大介1, 大場 友裕2 (1.株式会社ツルハホールディングス グループ調剤運営本部 グループ調剤戦略部 部長, 2.ウィーメックス株式会社 ヘルスケアIT事業部 プロダクトマネジメント部 薬局ビジネスソリューション課)
薬局を取り巻く経営環境は急速に変化しており、調剤報酬の適正化、後発医薬品の推進、さらには人手不足の深刻化など、従来のビジネスモデルでは対応困難な課題が山積しています。特に在庫管理においては、医薬品の多様化と供給不安定化により、「欠品による機会損失」「廃棄ロスの増大」「経験依存の発注精度の限界」といった三重苦に直面する薬局が急増しています。一方で、デジタル技術の進歩により、これらの課題を根本的に解決する新たなソリューションが登場しつつあります。 本講演では、まず薬局現場が直面する具体的な課題を整理し、従来手法からデータを活用した在庫管理の新たなアプローチを中心に欠品リスクを低減する発注支援の考え方について解説いたします。また、実際の導入事例から得られた知見についても共有いたします。
さらに、在庫最適化を起点としながらも、より広範囲な薬局経営の高度化についてもお話しします。ウィーメックスが推進する「Personalized HealthCare」を実現するためのプラットフォーム構想では、出店戦略の科学化、患者ニーズに基づく集患施策、経営指標の可視化など、薬局チェーン全体の競争力向上を支援する包括的なソリューションを目指しています。このプラットフォームが薬局の皆様の経営課題解決にどのように貢献し、ひいては患者一人ひとりに最適化された医療体験の実現にどう寄与するかについて、具体的なビジョンを共有させていただきます。単なるデジタル化にとどまらず、薬局の社会的価値向上と持続的成長を実現する未来の姿を、参加者の皆様と共に考える機会といたします。

【ツルハホールディングス】
「患者のための薬局ビジョン」以降、薬剤師は「対物から対人へ」というパラダイムシフトを求められている。そのような大きな社会的要請にも関わらず、その実践をめぐる議論は、具体的な方法論の不足と、しばしば業務効率化やマーケティングに偏った「DX」言説によって混乱を生むことがある。しかし、処方箋・薬歴・お薬手帳をはじめ、患者と薬剤師の対話も含めて薬局薬剤師は「データ」を活用し、患者のために供することで役割を発揮しており、その在り方を変える「DX」とその提供価値は全ての薬局薬剤師にとって有用である。本発表ではドラッグストアチェーンのデータ活用の実践を紹介しつつその学術的背景を概説し、既存の薬局薬剤師の実践に対する問いかけと具体的方策への考察について提示する。


立石大介(株式会社ツルハホールディングス グループ調剤運営本部 グループ調剤戦略部 部長)
2003年岐阜薬科大学を卒業後、ウェルネス湖北(当時)に入社しドラッグストア・調剤薬局で薬剤師として10年以上勤務。本部スタッフとして、薬局運営、店舗開発、採用、教育等全般業務を行う。
ツルハホールディングス入りや会社合併を経て、現在はツルハホールディングスに出向し、調剤薬局の将来戦略の策定と推進を担う。

大場友裕(ウィーメックス株式会社 ヘルスケアIT事業部 プロダクトマネジメント部 薬局ビジネスソリューション課)
2012年より、社会福祉法人京都博愛会 京都博愛会病院にて理学療法士としてリハビリテーション業務に従事。2014年から臨床に加え、同志社大学大学院に進学し身体活動量と疾患予防の関係性に関する研究を行い2017年に修了。2017年からパナソニックヘルスケア株式会社メディコム事業部(現:ウィーメックス株式会社)入社し、製品企画・開発業務に従事。現在は、「Wemex 薬局経営支援」のプロダクトマネージャーを担当。