講演情報

[O-5-01]薬局薬剤師によるドライパウダー吸入製剤適正使用支援~吸入トレーナーを用いた吸引力評価とデバイス変更提案の有用性検証~

垣内 雄二1, 加藤 裕立2, 村井 剛3, 近藤 良樹4, 石綿 宏光5, 安田 将也6, 平松 良宏9, 中山 慎太郎7, 河口 英史8, 齋藤 仁10 (1.総合メディカル(株)ハロー薬局 則武店, 2.犬山店, 3.カラフルタウン岐阜店, 4.大垣中央店, 5.さぎ山店, 6.いなば店, 7.大垣駅前店, 8.福光店, 9.柏友堂薬局, 10.総合メディカル(株))
【目的】 ドライパウダー吸入製剤(以下、DPI)は、高齢患者を中心に吸引力不足による吸入不良が課題となる。医療機関での継続的な吸入指導が十分でない現状を踏まえ、本研究では、薬局薬剤師が吸入トレーナーを用いた吸引力評価と、必要に応じた医師へのデバイス変更提案を実施。その後の吸入指導と喘息症状の評価を通じて、薬局薬剤師による介入の有用性を検証した。
【方法】 2024年2月22日~6月30日に岐阜県内のグループ内9薬局を受診し、DPIを1か月以上使用している患者を対象とした。吸入トレーナーで吸入手技をスコア化し、適正使用を評価した。さらに不備が確認された患者には吸入指導と再評価を実施した。DPIの使用が不適と判断された場合は、医師にデバイス変更を提案し、変更後も継続的に吸入指導を行った。喘息症状は喘息コントロールテスト(以下、ACT:20点未満をコントロール不良)で評価した。(総合メディカル倫理審査委員会承認番号:SMG2023105)
【結果】 対象者19名のうち9名(47%)に吸入手技の不備が認められた。吸入指導により7名(78%)の手技が改善し、3名は薬剤師の提案を受けた医師の判断によりエアゾール剤へ変更された。エアゾール剤に変更された3名うち2名が後日来局し、ACTスコアは10点から23点、16点から25点へと改善した。
【考察】 DPI使用患者の約半数に吸入力不足が見られ、定期的な手技確認と指導の重要性が示唆された。吸入手技のスコア化とACTスコアの併用は、喘息コントロール評価に有用である可能性が示された。また、吸入力不足やACT低値の患者に対する薬剤師の介入と適切なデバイス変更が、ACTスコアの改善に繋がることが示された。これらの結果から、患者の状態に応じたデバイス提案を含む薬剤師の吸入指導は、DPIの適正使用を支援する上で有用であると考える。