講演情報
[O-5-04]保険調剤薬局薬剤師による減薬の取り組みとその社会的意義
○佐々木 剛1, 染谷 光洋1, 谷口 亮央1, 佐藤 楓2, 樋浦 一哉2, 山下 美妃2, 中島 史雄1 (1.(株)ナカジマ薬局, 2.北海道科学大学)
【目的】高齢者を中心に進行するポリファーマシーは、有害事象・服薬アドヒアランス低下の要因となり、医療費の増大にもつながる重大な課題である。特に、漫然投与や潜在的に不適切な医薬品(PIMs STOPP-J基準)の投与は、薬物療法の質低下を招く危険性がある。薬剤師による処方介入が注目される中、服用薬剤調整支援料1(本支援料)の算定症例を解析し、減薬の特徴と臨床的意義を明らかにすることを目的とした。
【方法】2023年1月1日から2024年1月31日の期間内に株式会社ナカジマ薬局に所属する59店舗を対象とし、本支援料を算定した症例を抽出した。処方内容および薬剤師の介入内容を調査し「減薬薬剤の特徴」、「減薬理由と継続性」等を後方視的に解析した。
【結果】対象期間中において本支援料の算定は67件行われ、そのうち在宅患者が57件(85.1%)を占めていた。減薬前後の薬剤数中央値は10剤から8剤へと減少し、計168剤が中止された。減薬対象となった薬効分類は、消化性潰瘍治療薬、NSAIDs、緩下剤、アレルギー治療薬、漢方薬が上位を占め、減薬理由の71.4%(120件)は漫然投与であった。さらに、減薬となった67件について、減薬開始後から6か月間追跡したところ、79.8%が再開されることなく経過し、減薬の状態が維持された。
【考察】本研究では、減薬理由の大多数が漫然投与の是正であり、処方が患者の状態変化に応じて見直されていない実態が明らかとなった。薬剤師による介入により、PIMsに該当する薬剤だけでなく、PIMsに記載されていない漢方薬も減薬対象となっていた点は、本研究の新たな知見といえる。約8割の症例で減薬状態が継続し、薬剤費は1か月あたり186,915円削減され、1件あたりの医療費抑制効果は約1,500円と推定された。これらの結果は、薬剤師が処方適正化と医療資源の効率化に貢献しうることを示唆している。
【方法】2023年1月1日から2024年1月31日の期間内に株式会社ナカジマ薬局に所属する59店舗を対象とし、本支援料を算定した症例を抽出した。処方内容および薬剤師の介入内容を調査し「減薬薬剤の特徴」、「減薬理由と継続性」等を後方視的に解析した。
【結果】対象期間中において本支援料の算定は67件行われ、そのうち在宅患者が57件(85.1%)を占めていた。減薬前後の薬剤数中央値は10剤から8剤へと減少し、計168剤が中止された。減薬対象となった薬効分類は、消化性潰瘍治療薬、NSAIDs、緩下剤、アレルギー治療薬、漢方薬が上位を占め、減薬理由の71.4%(120件)は漫然投与であった。さらに、減薬となった67件について、減薬開始後から6か月間追跡したところ、79.8%が再開されることなく経過し、減薬の状態が維持された。
【考察】本研究では、減薬理由の大多数が漫然投与の是正であり、処方が患者の状態変化に応じて見直されていない実態が明らかとなった。薬剤師による介入により、PIMsに該当する薬剤だけでなく、PIMsに記載されていない漢方薬も減薬対象となっていた点は、本研究の新たな知見といえる。約8割の症例で減薬状態が継続し、薬剤費は1か月あたり186,915円削減され、1件あたりの医療費抑制効果は約1,500円と推定された。これらの結果は、薬剤師が処方適正化と医療資源の効率化に貢献しうることを示唆している。
