講演情報

[O-6-04]福岡市薬剤師会における院外処方箋包括的事前合意プロトコル運用状況の解析

中村 証1, 加藤 正久1, 井上 裕貴1, 大山 竜也1, 小西 秀平1, 近藤 直1, 吉野 禎治1, 原口 恵子1, 高木 淳一1, 竹野 将行1, 兼重 晋2, 金谷 朗子3, 木原 太郎1 (1.福岡市薬剤師会, 2.福岡大学病院, 3.九州大学病院)
【目的】2015年度全国薬局疑義照会実態調査において、薬局における疑義照会の21.9%が薬学的疑義照会ではなく形式的疑義照会であることが報告されている。福岡市薬剤師会では、2025年5月現在、10医療機関と「院外処方箋包括的事前合意プロトコル」(以下、事前合意P)に基づき13項目について合意書を交わしており、会員薬局は必要な手順を経てプロトコルに従った調剤が可能となる。また、福岡市薬剤師会では13項目を保険調剤制度に基づき評価分類する報告(以下、福岡市薬調査)を行った。実際の事前合意P適用状況や課題について各医療機関より報告されているが、福岡市薬調査を基に評価された報告は無いため解析を行った。
【方法】福岡市薬剤師会への届出を基に締結薬局数を調査した。また、福岡市薬剤師会と合意書を交わしている医療機関に対し、保険薬局より提出された事前合意P連絡用紙に基づくデータ提供を依頼し、得られたデータについて福岡市薬調査を基に解析を行った。
【結果】福岡市薬剤師会会員薬局における事前合意P締結薬局は340薬局であり、2件の医療機関より回答が得られた。13項目の使用割合は10%以上が5項目、5%以下が8項目、さらに1%以下が5項目と偏在していた。事前合意Pのデータを分析した結果、形式的疑義照会に該当する6項目中3項目が10%以上に該当。また、従来から疑義照会を必要としない4項目のうち3項目は1.5%以下であり、あまり使用されていないことが示唆された。
【考察】事前合意Pは、疑義照会の省略を目的としたものではなく、主に形式的な疑義照会の省力化を目指したものである。今回の解析により事前合意Pの運用は、形式的な疑義照会の省力化に寄与していることが示唆された。今後、事前合意Pを円滑に活用できるよう課題の解析を実施したい。