講演情報

[O-6-06]学校保健計画における学校環境衛生基準に規定される検査項目・検査回数の記載状況

矢尾板 郁佳, 山田 哲也, 北垣 邦彦 (東京薬科大学 薬学部)
【目的】わが国の学校は、検査項目、基準値、回数を含む検査方法が示された「学校環境衛生基準」に基づき環境衛生検査の計画を策定し、実施する義務がある。学校薬剤師の主な職務は、学校安全計画の立案への参与、環境衛生検査への従事、必要な指導・助言である。 (公社)日本薬剤師会学校薬剤師部会は、毎年全国の学校等を対象に学校保健調査を行っている。本調査は、これまでに環境衛生検査の実施が不十分であることを示してきた。また、その結果に対する背景には、計画の立案が不適切であることが示唆されている。そこで、本研究は、学校環境衛生基準に規定される検査項目及び検査回数が学校保健計画に適切に記載されているかについて調査した。
【方法】本調査は、教育委員会等が主催する学校保健に関する研修会に参加した学校から回答を得た。各学校には、事前に学校保健計画を持参するように依頼した。解析対象は、1府4県の計187校であった。
【結果】学校保健計画に各検査項目ではなく、「換気及び保温等」「採光及び照明・騒音」「飲料水の水質」等の大項目のみを記載している学校の割合は、それぞれ48.1%、36.9%及び79.1%であった。学校保健計画に検査項目の個別記載がある学校の内、「換気及び保温等」の「換気」が学校環境衛生基準に規定される年2回以上記載のあった割合は65.3%であったが、「一酸化炭素」「二酸化窒素」はそれぞれ16.4%及び15.9%であった。また、「飲料水等の水質」の各項目を全て記載していた学校は10.2%であり、大項目のみは79.1%であった。
【考察】本調査から多くの学校において学校保健計画が適切に作成されておらず、検査回数も基準通りでないことが示された。環境衛生検査の項目は多く、専門性が高いため、学校薬剤師は学校保健安全法施行規則に規定されるとおり学校安全計画の立案に参与し、適切な学校保健計画の作成に向けて指導・助言を行うことが大切である。