講演情報

[O-6-23]薬剤師との連携により訪問栄養指導を行った居宅患者の2症例

小澤 栞1, 永原 礼美1, 近藤 優子1, 森 由貴子2, 坂本 桃子3, 野口 芳美3 (1.(株)トモズ 薬剤部, 2.(株)トモズ 薬局トモズ関東労災病院前店, 3.新丸子店)
【目的】薬局トモズでは、管理栄養士が各店舗の薬剤師と連携し、居宅療養管理指導を受けている低栄養または低栄養リスクのある患者に対して栄養指導を行っている。今回MNA®-SFを用いた栄養スクリーニングを薬剤師が実施し、管理栄養士の栄養指導によって栄養状態を改善できた2名の居宅患者について報告する。尚、MNA®-SF は高齢者の栄養状態を把握する為の質問表であり、12~14点が栄養状態良好、8~11点が低栄養リスクあり、0~7点が低栄養と、3段階で判定される。
【症例1】80代女性。自己免疫性肝炎、2型糖尿病等の為、居宅療養中。
スクリーニング値は 6点。3か月間で3 kg以上の体重減少、食事量の減少も見られた為、栄養指導を開始。開始時の体重は47.2 kg、BMI 19.4。指導内容としては、主食の摂取量を1口分以上増やすこと、不足していた肉・魚・卵・大豆製品の摂取を促すことでエネルギー及びたんぱく質の摂取量増加を図った。3か月後、体重47.5kg、BMI19.5となり、スクリーニング値は11点に改善。患者は栄養状態を安定的に保っている。
【症例2】80代女性。骨粗鬆症、不眠症等の為、居宅療養中。
スクリーニング値は8点。本人の希望により栄養指導を開始。開始時の体重は40.0 kg、BMI17.7。指導内容としては、食パンに蜂蜜またはツナマヨネーズを加えること、飲料タイプの栄養補助食品を追加することによりエネルギーの摂取量増加を図った。3か月後、体重41.3 kg、BMI18.3となり、スクリーニング値は11点に改善。患者は栄養指導を通して食事の準備に積極的に取り組むようになり、低栄養への移行を防ぐことができている。
【考察】2症例とも、事前に薬剤師が栄養スクリーニングを実施したことにより、管理栄養士による患者の栄養状態の把握と介入に繋げることができた。栄養スクリーニングツールは、薬剤師から管理栄養士へと患者を繋ぐコミュニケーション手段として、また低栄養対策にも有効であることが示唆された。