講演情報
[O-6-26]透析患者の繰り返す臀部感染性粉瘤に十全大補湯が著効した1症例
○斎藤 英子 ((株)ストレチア 松川天王原薬局)
【目的】透析医療における治療技術が発達した現在でも、透析患者の難治性の不定愁訴は少なくない。また、生存率の向上や日常生活のQuality of Life(QOL)の維持・改善に関しても大きな課題である。そのため、近年漢方薬を始めとした補完医療が見直されている。今回、本症例では、繰り返す臀部感染性粉瘤に対し介入前よりツムラ排膿散及湯を服薬していたが、介入によりツムラ十全大補湯服薬に変更し粉瘤切除の回数を減少させることができたので報告する。
【症例】80歳代女性、診断名:末期腎不全、2型糖尿病、狭心症、腎性貧血、閉塞性動脈硬化症。透析治療中であり臀部に繰り返す粉瘤形成がみられた。20××年6月より総合病院で切除後、ツムラ排膿散及湯とゲンタマイシン硫酸塩軟膏を約1ヶ月間使用していたが、痛み等効果が無かったため、8月に透析主治医にツムラ十全大補湯を処方提案し、服薬開始となった。薬剤師による在宅訪問における主治医、看護師およびヘルパーからの情報収集により、臀部痛、粉瘤の切除回数の減少が認められた。
【結果・考察】20××年6月には2回の切除を施行していたが、ツムラ十全大補湯服薬により粉瘤の切除を7ヶ月間で3回に減少させ、痛みも改善させた。ツムラ十全大補湯は、排膿し腫れが引いた後、再発を予防することや皮膚免疫を改善する効果があるため、繰り返す単純ヘルペスや帯状疱疹の予防に有用と考えられている。同様な効果で繰り返す粉瘤の発生頻度の減少に繋がったと考えられる。また本症例は、薬剤師による在宅訪問にてゲンタマイシン硫酸塩軟膏と漢方薬併用のコンプライアンス維持ができたことも本結果に結びついたと考えられる。今後、高齢者患者への応用として、ツムラ人参養栄湯など他の漢方薬との比較を検討したい。
【症例】80歳代女性、診断名:末期腎不全、2型糖尿病、狭心症、腎性貧血、閉塞性動脈硬化症。透析治療中であり臀部に繰り返す粉瘤形成がみられた。20××年6月より総合病院で切除後、ツムラ排膿散及湯とゲンタマイシン硫酸塩軟膏を約1ヶ月間使用していたが、痛み等効果が無かったため、8月に透析主治医にツムラ十全大補湯を処方提案し、服薬開始となった。薬剤師による在宅訪問における主治医、看護師およびヘルパーからの情報収集により、臀部痛、粉瘤の切除回数の減少が認められた。
【結果・考察】20××年6月には2回の切除を施行していたが、ツムラ十全大補湯服薬により粉瘤の切除を7ヶ月間で3回に減少させ、痛みも改善させた。ツムラ十全大補湯は、排膿し腫れが引いた後、再発を予防することや皮膚免疫を改善する効果があるため、繰り返す単純ヘルペスや帯状疱疹の予防に有用と考えられている。同様な効果で繰り返す粉瘤の発生頻度の減少に繋がったと考えられる。また本症例は、薬剤師による在宅訪問にてゲンタマイシン硫酸塩軟膏と漢方薬併用のコンプライアンス維持ができたことも本結果に結びついたと考えられる。今後、高齢者患者への応用として、ツムラ人参養栄湯など他の漢方薬との比較を検討したい。
