講演情報

[O-6-27]市域を越える専門医療機関連携薬局・病院合同研修会によるがん患者対応促進の試み

鈴木 生1, 加藤 達也2, 林 篤志2, 横山 朝子3, 河合 祐輔3, 片山 真二4, 佐藤 翼5, 瓜 秀彬6, 武藤 顕治7, 角 佳亮8 (1.さくら薬局グループ クラフト(株) さくら薬局 滝川店, 2.滝川市立病院, 3.砂川市立病院, 4.一の薬局, 5.ナカジマ薬局 砂川店, 6.ウリ薬局, 7.武藤薬局, 8.さくら薬局グループ クラフト(株))
【目的】専門医療機関連携薬局(がん)は地域のがん医療を支える役割を担い、がん患者の薬物治療支援のため他薬局への継続的な研修実施が求められている。そこで、地域全体でのがん患者支援の底上げを図る必要があると考え、市域を越えて専門医療機関連携薬局(さくら薬局滝川店、ナカジマ薬局砂川店)と病院(滝川市立病院、砂川市立病院)の4施設合同で研修会を実施し、その影響を調査した。
【方法】2024年1月、2月、10月の3回にわたり、4施設合同でがん研修会を実施した。1月にはがん患者への関わり方と各施設の介入内容に関する講演、2月はトレーシングレポート(以下、TR)の活用をテーマとしたシンポジウム、10月は実際にレポートを作成するグループワークを行い、研修前後1年間におけるTR件数を比較した。
【結果】研修会には延べ22薬局が参加した。TRの提出件数について、研修開始前後(1月を起点とした各1年間)の比較を行った結果、研修前は月当たり平均4.8±15.6件、研修後は平均5.8±19.1件と増加傾向を示した(p=0.243)。なお、研修後に新たにTRの提出を開始した薬局は4薬局あった。
【考察】本研修会は薬局間及び病院との連携を促進するための実践的な試みであり、市をまたいだ合同研修会により、地域を越えた考え方や事例の共有が可能となった。TRはがん患者支援の手段の一つであり、件数の増加自体を目的とするものではないが、薬局が病院と連携して患者支援を行う有効なツールであると考えられる。研修後に、それまでTRの提出実績のなかった薬局が新たに提出を開始したことは、がん患者対応への抵抗感の軽減や薬局薬剤師の関わり方の変化に繋がる可能性が示唆される。一方、提出件数は薬局間でばらつきがあり、標準偏差の大きさが有意差を認めなかった要因と考える。今後は薬局間や病院との連携をさらに強化し、地域全体でがん医療を支える体制づくりに向けた継続的な取り組みを行っていきたい。