講演情報

[O-6-28]地方中核病院とその周辺薬局によるがん医療連携の立ち上げ0→1の活動報告

佐々木 隆人1, 小田桐 慶2, 鈴木 すみれ2, 水野 芳宏2 (1.(株)なの花東北 なの花薬局 浦町店, 2.事業部)
【目的】外来がん治療において、地域薬局によるトレーシングレポート(TR)提出などの薬剤師による積極的な治療介入が治療の質的向上に寄与する事が先行研究より明らかになっている。当薬局はがん診療連携推進病院の地方中核病院(A病院)敷地20m以内に立地し、他に同等条件の周辺薬局が複数存在しており、当薬局含め周辺薬局によるTRなどの治療介入を充実させる必要があると考えた。そこで筆者は外来がん治療専門薬剤師の資格を取得し、A病院のがん薬物療法認定薬剤師に協力を仰いで、それまで進んでいなかった周辺薬局との医療連携を2024年5月から開始した。その取り組みにおける試行錯誤を紹介する。
【方法】医療連携では次の取り組みを行った。1.メーリングリストの活用。2.院内のレジメン採用情報の共有。3.月1回1時間の研修会開催。研修会ではがん治療患者に対する院内や薬局薬剤師による介入パターンをケーススタディで学んだ。
【結果】2025年3月時点において周辺薬局にアンケートをとったところ、研修会に対しては「とても満足」「どちらかというと満足」の割合が合わせて100%を占めた。しかし周辺薬局によるTR提出件数に増加傾向はなかった。課題に感じている事としては、「知識やスキルに自信がない(100%)」「知識が定着しない(40%)」「薬剤師不足のため介入やTR作成の時間が十分に取れない(40%)」などが多く見られた一方、「薬局の雰囲気として知識向上やスキルアップの意識が物足りない」と答えた薬局は無かった。
【考察】取り組みに対する周辺薬局の満足度は高いが、介入まで結びついていないことがわかった。取り組みは現在も継続中だが、「知識やスキルに自信がない」というアンケート結果を踏まえて、今後は周辺薬局が経験したがん症例薬歴を共有し薬学管理のポイントを整理していく取り組みを始めるなどして、介入の件数や質の向上に繋がるような連携方法を模索していく。