講演情報

[O-6-30]小児領域の研修体系と服薬指導への影響

本田 賢, 荒井 玲美, 山本 楓美, 弓削 吏司 (日本調剤(株))
【目的】対物業務から対人業務への重要性が議論される中、薬学教育モデル・コア・カリキュラムには「状況に適した薬物治療を計画立案し、薬物治療を実践する」ことが目標に掲げられ、求められる資質の1つに「自己研鑽」が挙げられている。しかし大学教育で小児と成人の服薬指導の差異を習得することは容易ではなく、現場での自己研鑽では小児の体系的な学習方法を見つけることが難しく、小児薬物療法認定薬剤師の受講枠も限られている。加えて近年在宅業務やフォローアップ等の業務が浸透し、勤務時間内に職員間で服薬指導の議論・研鑽の時間を確保することが難しいことが、状況に適した薬物治療実践の障壁になっていると考えた。そこで今回、小児に適した薬物治療実践のためとなる研修が、状況に適した薬物治療実践の一助となるか調査した。
【方法】当社2022年度新卒入社薬剤師を対象に小児薬物療法研修会の概論や小児特性を中心とした1回15分程度のビデオ研修を計8回実施。研修後に実施した服薬指導が、小児の特性を把握した内容に繋がったかを受講者に報告させ解析。
【結果】研修前は疾患や薬剤特性などの薬学的な知識不足が指導の枷と捉えている職員が多く、要因として学習方法がわからないという意見が多くを占めた。また半数以上は研修内容に薬学的な知識の充足を求めており、小児特性やコミュニケーションスキルといった薬学的とは別の知識を求めていたのは1/3に満たなかった。研修後も薬学的知識の充足には不十分という意見が最多を占めたが、小児の特性を学んだことで服薬指導における接し方が変わり、フォローアップのきっかけとなり、保護者から信頼を得ることが出来たとの報告も多く受けた。
【考察】短時間の小児特性の研修受講に加え実践結果を報告させる形式は、保護者や児からの信頼獲得、フォローアップへの展開に繋がるなど、小児に適した薬物治療の助けとなりうると考える。