講演情報

[O-6-31]効果的な研修資料作成のための認知症薬に関する調剤薬剤師の理解度調査

宮島 永1,2, 鈴木 麻衣子3, 柴田 和美4, 久田 彩永5, 齋藤 優子6 (1.(株)MCCマネジメント 人材開発部人材事業推進課, 2.(株)ココカラファインンヘルスケア ジップファーマシー港明調剤薬局, 3.ココカラファイン薬局ミタス伊勢薬局, 4.守山白山店, 5.垂水店, 6.ガーデンシティ舞多聞薬局)
【目的】抗認知症薬はアルツハイマー型認知症を中心に用いられる薬剤であり、患者の認知機能の維持や行動心理症状の軽減に一定の効果を示す一方、抗認知症薬の適応症や用法用量などについて理解度に差があり、適切な患者ケアに影響する可能性がある。本調査では、抗認知症薬に関する調剤薬剤師の理解度を把握し、理解度に合わせた今後の研修資料作成を目的とした。
【方法】2025年1月及び2月に実施した研修対象者の調剤薬剤師に、貼付薬を除く抗認知症薬(以下、認知症薬)及びレカネマブの理解度に関する理解度調査を実施した。内容は、認知症薬及びレカネマブのMCIへの適応、認知症薬及びレカネマブの適応症、認知症薬の用法用量、認知症薬の分類について、専門知識を有する弊社認知症研修認定薬剤師4名に調査項目の協力を仰いで作成し、選択式で構成された20項目で実施をした。対象者は981名で有効回答数は707名(有効回収率72.1%)であった。
【結果】全20項目中11項目において、カイニ乗検定による有意差が認められ、認知症薬の用法用量に関する項目においてはすべての薬剤に有意差があり、ステップアップする期間及び用量の正確さの理解度が低く、また、認知症薬及びレカネマブのMCIへの適応に関する項目においても、ドネペジル以外では有意差があった。有意差のなかったドネペジルに関しては、MCIに対して適応があるとどの階層においても回答をしており、全体でも75.5%がMCIに適応があると回答があり有意差が出なかった。
【考察】認知症薬の正しい理解は、薬物療法の適正使用だけでなく、患者への関わり方や服薬支援にも深く関係する。本調査から、階層別従業員の間で理解度に有意差があったのは、特に、用法用量に関する項目であり、有意差が合った項目を中心に今後の階層別に合った研修資料の内容への落とし込みを行い、理解度向上に即した研修資料の構築が必要と考える。