講演情報

[P-002-B]マイナ保険証活用による重複防止、減薬提案

村田 隆宣1, 土屋 貴大2, 友野 寛郎3, 長野 里志4 (1.(株)千葉薬品 ヤックスドラッグ, 2.ヤックスドラッグ茂原谷本薬局, 3.木更津羽鳥野薬局, 4.八柱薬局)
【目的】高齢化に伴い人口減少が進行するとともに、医療の担い手も減少し業務負担の増加と医療の質の低下が懸念されている。その対策として薬局でもDX化が推進されており、業務効率と医療の質向上を目的として2024年12月よりマイナ保険証の本格運用が開始された。そこで、どのように業務効率化と医療の質を担保できるのか検証するため、実際の活用例を収集し、症例調査を行った。
【方法】千葉県内、各エリアにてマイナ保険証利用件数の月300件以上の薬局を対象とし、2025年2月10日~3月9日までの1ヶ月間で重複防止、減薬提案につながった症例を収集した。
【結果】マイナ保険証を利用した対象患者1110名のうち6件の症例が報告された。内訳は転院時の処方転記間違い3件、重複投与による処方削除又は中止指示2件複数医療機関処方に伴う薬剤相互作用による減薬1件であった。今回はそのうち、薬剤相互作用より減薬に至った症例を報告する。
【症例】80歳代男性、AクリニックとB病院を受診している。Aクリニックより薬剤師の服薬管理への介入依頼あり。来局時お薬手帳は不携帯であり、患者のマイナ保険証利用により薬剤情報、健診結果を取得した。その結果、B病院整形外科でテリボン皮下注の院内処方があったことが判明。Aクリニックで処方されているエルデカルシトールとの併用により高Ca血症のリスクが高まる恐れがあるため、B病院に併用を継続して問題ないか確認し同時に血清Caの検査値情報を聴取した。Aクリニックには情報共有および減薬提案を行い、エルデカルシトールが処方から削除となった。
【考察】マイナ保険証活用により取得した薬剤情報から、複数医療機関での併用薬や治療状況を把握することで、薬学的判断による減薬提案につながった事例である。今回の症例より、薬局業務のDX化により業務効率性を向上させ、マイナ保険証を有効活用することで、さらによりよい医療の質を担保できることが示唆された。