講演情報

[P-009-C]シムビコート®/ブデホル吸入薬使用患者における治療継続に影響を与える因子の実態調査

對馬 遼1, 佐々木 駿2, 長谷川 凌平3, 末澤 千恵4, 庄村 元希5 (1.(株)なの花中部 なの花薬局名古屋長須賀店, 2.藤枝小石川店, 3.おかわち店, 4.河芸店, 5.事業部教育セクション)
【目的】気管支喘息治療はICSを中心とした長期管理が主流である。吸入手技等の外的要因に注目した先行研究は報告されているが、吸入継続率の改善には至っていない。今回、吸入薬の継続使用に影響する要因を明確にすることを目的に、シムビコート®、ブデホル吸入粉末剤の使用患者を対象とした調査を実施するとともに、吸入薬の継続に影響を及ぼす内的要因の関与を仮定して検討を行った。
【方法】2024年7月16日~7月31日、なの花薬局7店舗で吸入薬が処方された患者を対象に匿名アンケート調査を行った。調査項目は、吸入する上で困っていることの有無、自己判断による中止の有無等(単一回答)とした。困っていることがあると回答した患者には、具体的に困っている内的要因を複数選択で追加質問した。また統計解析にはFisherの正確確率検定を用い、p値<0.05で有意差ありとした。
【結果】有効回答55名(回答率79.7%、初回処方除外)。「困っていることがある」と回答した患者は14.5%であり、具体的には「外出先で吸入できない」が25.0%と最も多く、次いで「いつまで吸入薬を継続して使用し続けないといけないか分からない」12.5%等が挙げられた。また「自己判断で中止したことがある」と回答した患者は20.0%であった。さらに、困っていることの有無で自己判断による中止について有意差が見られた。(p=0.042)
【考察】吸入薬継続に内的要因の関与を仮定したところ、自己判断による中止と困っていることがある群の間に関連性が示唆された。また、「外出先で吸入できない」等患者の生活背景で治療継続に影響を与える可能性がある要因についても把握することができたが、本研究では回答店舗が限定的だった。そのため、今後詳細な調査を実施するとともに吸入手技に限らず個々の患者の困っていることに配慮した継続的な服薬支援が求められる。