講演情報

[P-012-C]ツロブテロールテープ後発医薬品と先発医薬品の放出挙動の差による服薬指導の注意点

吉國 雄亮1, 辰己 泰基1, 毛利 有貴1, 勝田 弘輝2, 猪川 和朗2, 森川 則文2 (1.(株)M&C キタバ薬局, 2.広島大学)
【目的】後発医薬品の使用拡大により初回から後発医薬品が使用される患者が増えた。しかし、様々な理由で後発医薬品から先発医薬品への切り替え時に不都合が生じる。特にツロブテロールテープに関しては、生物学的同等性が確認されているが、使用直後の血中濃度の上昇に差があり、「貼付薬は後発医薬品が使用可能であるが、薬物貯留システムの違いから皮膚の状況によっては先発医薬品とは経皮吸収速度が異なるため、注意が必要である」「ツロブテロールテープを先発医薬品から後発医薬品に変えることによって喘息の症状が増悪する」との指摘がある。そのため、薬剤使用時のフォローアップ時には、放出挙動の違いを把握して、服薬指導する必要があるが、添付文書上には詳細な記載はなかった。
【方法】後発医薬品としてツロブテロールテープ「サワイ」、先発医薬品としてホクナリン®テープを選択し、両製剤の放出挙動を溶出試験機にて測定した。各製剤は同一条件下で試験を行い、溶出液には精製水を使用し、180分時点までのツロブテロールの放出量を比較した。ツロブテロール濃度は、HPLCにて測定した。
【結果】後発医薬品であるツロブテロールテープの方が初期から高い放出率を示した。180分時点における放出率は、ツロブテロールテープが52.6%(n=3)、ホクナリン®テープが22.2%(n=3)であり、ホクナリン®テープの放出挙動はインタビューフォームに記載されたデータと概ね一致しており、本試験の信頼性は確認された。
【考察】ツロブテロールテープは早期に薬剤が多量に放出される設計であり、迅速な効果発現が期待された。一方、ホクナリン®テープは持続的な薬剤放出を特徴とし、結晶レジボアシステムによる制御が有効に機能していたため、放出速度は緩やかであった。放出挙動の違いは、効果発現時間に影響を与え、患者の希望、ライフスタイルに合わせた処方薬選択時の判断材料として患者説明に活用できる。