講演情報

[P-013-A]メトホルミン塩酸塩錠とオルメサルタン錠の一包化による変色と保管条件の検討

宮崎 祐輔1, 河内 絢乃1, 國貞 雄介1, 長岡 陽南汰1, 勝田 弘輝2, 猪川 和朗2, 森川 則文2 (1.(株)M&C キタバ薬局, 2.広島大学)
【目的】高齢者や多剤服用患者に対し、複数の薬剤を一包化するが、まれに薬剤の変色に遭遇する。我々は、メトホルミン(M)の添付文書の「Mとオルメサルタンの2剤を共に一包化すると変色するので避けるように」との記載に対し、両薬剤を一包化し、保管した際の変色の程度と含量を検討した。その結果、通常保管(暗所・室温)では変色もM含有量低下もないことを確認した。そこで、より過酷な保管状態に変更し、一包化した薬剤を安全に服用できる限界期間と条件の検討を行った。
【方法】実際の家庭での保管状況を再現した条件(条件1(24時間絵エアコンが稼働する部屋に放置)、条件2(エアコンが稼働しない部屋に放置))を設定した。両材の一包化は湯山SINGLE-R93-III、分包紙は70Wセロポリ(20)無地SC-2を使用した。第1段階(過酷試験:夏季)で計90日間保管し、1週間毎に変色の有無を確認し、撮影画像を解析(RGB値算出)した。第2段階では、季節を変えて同一条件で保管した(過酷試験:冬季)。第3段階(過酷試験:冬季)において保管期間30日目、60日目、90日目のM含量をHPLCにて測定した。
【結果】第1段階の検討では、条件1で5週目から、条件2で2週目から変色が確認された。第2段階の検討では、90日経過後も両条件での変色は観察されなかった。第3段階の検討では、M含量の低下はなかった。
【考察】今回の過酷試験(夏季と冬季)では異なる結果が得られた。過酷試験:夏季において、短期間に変色が確認された。過酷試験:冬季では、90日間保管しても変色が認められず、含量の変化もなかった。よって、夏季での一包化は不可と判断された。ただし、夏季でのM含量測定ができなかったので、今後着色物質を同定し、どの程度人体へ影響があるのかを検討する必要がある。一包化は、患者のコンプライアンス向上に有効な手段であるので、分包紙と薬剤の選択により調剤方法の可能性を広げる工夫が必要と考えられた。