講演情報

[P-022-A]高齢者の認知機能低下に与える影響について薬歴データからの調査

佐野 公恵, 山田 佳代子 ((株)メディカル一光 フラワー薬局三国店)
【目的】日常の薬局業務において、認知機能低下が疑われる患者およびその家族の発言内容を意識して薬歴に詳細に記載することに努めてきた。現在、認知症の診断基準として様々な方法が患者認知機能の評価に用いられているが、その多くは症状がかなり進行してから実施するものであり、時系列に沿って症状の進行状況を評価するようなものは少ない。そこで本研究では、過去の薬歴の記載内容から患者の認知機能低下の疑いのある事象を集計し、認知機能を低下させる可能性のある薬剤の服用の有無と高齢者の認知機能低下を疑われる行動の関連を調査した。
【方法】2018年12月1日から2023年11月30日までの期間に継続してフラワー薬局三国店を利用した患者の薬歴に記載された認知機能低下が疑われる行動(以下、イベント)を独自に作成した項目リストに基づいて抽出し、認知機能に影響を与える可能性薬剤の服用群と非服用群においてχ二乗検定により解析を行い、イベントの有無との相関を検証した。続いてイベント件数を集計し、両群の平均値に差があるかどうかを両側t検定により解析した。
【結果】解析の結果、認知症関連イベントの有無は、可能性薬剤の服用の有無と相関することが分かった(p<0.05)。また可能性薬剤を1年以上服用したことのある患者のイベント発生件数が有意に高いことが明らかになった。
【考察】認知機能に低下が疑わる行動の詳細な薬歴記載内容と服用薬剤の認知機能低下への影響を調べた本研究により、多くの薬剤師が容易に取り組むことができ、薬局の認知症対応力の向上に繋がることが期待する。