講演情報

[P-024-C]レビー小体型認知症患者家族に対して支援を行い、介護負担を軽減させた症例

岩田 直樹 ((株)龍生堂本店 龍生堂薬局 永山店)
【目的】2024年共生社会の実現を推進するための認知症基本法が施行され、認知症の人に対する支援のみならず、家族等に対する支援が適切に行われることにより地域において安心して日常生活を営むことができるようにすることが基本理念の一つとして策定された。本症例では認知症研修認定薬剤師が薬学的介入に加えて患者家族に対してレビー小体型認知症による幻視の対応に関して説明することにより患者負担の軽減、介護サービス導入へつなぐことのできた症例を報告する。
【症例】70歳代女性、レビー小体型認知症、要介護2、家族は息子と娘の2人。
長年当薬局を利用していたが自身での病院受診が困難になり訪問診療が開始。外来にて患者家族が来局時に服薬指導を実施。家族は患者の幻視の症状への対応に困惑していた。また介護サービスは利用していない状況であった。
【介入】薬学的介入としてベタヒスチンメシル酸塩錠の減薬提案を処方医へ行い、1日4回の服用回数を2回へ減少させた。また他科より処方されたミラベグロン錠をまとめて一包化することにより服薬を簡易化した。また患者家族への教育としてレビー小体型認知症の病態、症状について説明。幻視が発生しやすい状況や対応法を説明することにより家族の精神的負担の軽減に努めた。介護サービスは要介護2と認定されていたが担当の介護支援専門員が決定されていないことが判明し患者家族同意のもと地域包括支援センターへ状況を報告。その結果介護サービス導入が決定した。
【考察】認知症に対する介入は患者本人のみならず、家族等に対しても必要とされているが家族等へ介入できる事例は少ない。本症例では幻視というレビー小体型認知症特有の症状について家族へ対応法を説明することにより家族の精神的負担の軽減、非薬物的介入に寄与することができた。共生社会の実現に向けて薬局薬剤師は患者のみならず家族等へも介入していく必要があると考えている。