講演情報

[P-027-C]認知症初期集中支援チームと協力して認知症患者へ多職種で介入を行い、認知機能の改善を認めた事例について。

岸田 彰 ((株)アイセイ薬局)
【目的】日本は少子高齢化が社会問題となっており、その中でも秋田県は特に高齢化率が高い地域である。高齢化の進行で他地域よりも更に認知症患者の罹患率が増加すると想定される。認知症の前段階である軽度認知機能障害(MCI)からの認知症発症は一定割合で抑えられるため、MCI・認知症患者への早期の介入により認知機能の維持・改善に寄与することが可能と考える。地域包括支援センターを通して、認知症初期集中支援チーム(以下、チーム)と協力して認知症患者へ介入した症例について報告する。
【症例】患者は80代男性。妻、娘と同居。かかりつけ医の処方で当薬局を利用。会話の返答内容・速度、待合室での振る舞い(月1回服用の薬剤の服用有無を答えられない、調剤完了を待てずに帰宅してしまう等)から認知症を疑う状態が1年ほど続いていたが、徐々に症状が進行している印象があった。薬剤師による「生活のご様子確認票(アリセプト資料中の付録(以下、確認票))」を用いた認知症評価に加え、チーム保健師の意見も踏まえ、主治医へ抗認知症薬の処方開始を提案した。主治医より他院の物忘れ外来へ紹介となり、物忘れ外来からガランタミン8mg/日、フォリアミン10mg/日が処方開始。28日後にガランタミン16mg/日へ増量。処方開始後、返答内容・速度の改善があり、帰宅してしまっていた行動が是正された。確認票の評価においても「日付や季節感や場所などが不確かと思うことはありますか?」「会話など意思疎通にお困りのことはありますか?」の項目において改善があった。
【考察】来局患者に確認票を用いて認知機能の評価を行うことは有用と考える。当該評価を踏まえチーム等への紹介を行うことで、薬剤師単独では難しい内容でも治療・症状改善に繋がる可能性が高くなると考える。これは薬局に求められている地域包括ケアシステムへの貢献に寄与することが出来る取り組みと考える。