講演情報

[P-031-A]専門医療機関連携薬局におけるがん患者への介入~トレーシングレポートからみえること~

加藤 誠一1, 寺戸 靖1, 近藤 澄子1, 田中 直哉2 (1.(株)ピノキオ薬局, 2.(株)ピノキオファルマ)
【目的】専門医療機関連携薬局の認定要件には、がん患者の半数以上の情報提供が求められている。
弊社では2022年8月に専門医療機関連携薬局が誕生した。がん患者の電話フォローアップや、乳がん患者を中心にチェックシート(以下CS)を用いた介入結果の情報提供に取り組み、その成果を一昨年、昨年の薬局学会で報告した。今回CSの継続使用状況等を追跡調査した結果を報告する。
【方法】2023年1月~2024年12月の期間に、医療機関に提出したがん患者のトレーシングレポート(以下TR)を集計し内容を調査した。単純な残薬報告やプロトコルによる変更等の報告は除外した。
【結果】がん患者の総数は190名であり、がん関連のTRは112件(乳がん67件、大腸がん9件、胃がん9件、前立腺がん9件、その他18件)提出された。112件のうち処方提案が19件実施され14件で処方変更が行われた。
乳がん患者の来局が最も多く82名であり70名はホルモン療法継続患者であった。そのうちCSを活用したTRは52件であった。
その1例を示す。
症例:アロマターゼ阻害剤(以下AI)服用患者。関節痛G3が発現、主治医に以前相談したがしょうがないと回答され以降相談できず手持ちのロキソプロフェン錠を服用中と確認、処方医へTRを提出した。その後の受診でAIは変更となった。
【考察】乳がんホルモン療法は長期間にわたることが多く、副作用への慣れや「変わりない」といった患者の言葉が薬剤師のフォローアップ機会を妨げることがある。しかし継続したCSの活用により、患者の状態を把握することでTR提出につなげることが可能となった。処方変更にいたる事例が確認され、CSを用いた薬剤師介入の有効性を示唆する結果となった。
今後も専門医療機関連携薬局として、患者支援の質を向上させるための方法を模索し、継続的なフォローアップの重要性を再認識するとともに、より効果的な介入方法の確立を目指す必要がある。