講演情報

[P-032-B]医療機関連携により、不妊治療の適切な薬物療法につながった1例

細谷 悠衣, 佐藤 祐依 ((株)富士薬品 ドラッグセイムス北千住本町センター通り薬局)
【背景・目的】不妊治療は、共働き世代の増加とともに需要が高まり、治療法の進歩により選択肢も広がっている。一方で、患者一人ひとりに最適な治療計画の立案が求められる。そのため、当店では医療機関との情報共有を積極的に行い、質の高い治療提供に努めている。その中で、医療機関との密接な連携により、適切な薬物治療を継続できた症例について報告する。
【症例】40歳代女性。X年9月、不妊治療における卵胞成熟目的でスプレキュア点鼻液®0.15%が処方となった。来局時に患者から自己注射やスプレキュア点鼻液®0.15%の使用期間と月経周期ついて聞き取りを行ったところ、事前に処方医と連携していたショート法のスケジュールと相違があったため、疑義照会を実施した。疑義照会の結果処方意図と合致することができ、適切な不妊治療を継続することができた。
【考察】今回の症例については、スプレキュア点鼻液® 0.15%を繰り返し投与し、受容体のダウンレギュレーションを利用したショート法の症例で、この場合、正しいタイミングで使用しないと十分な効果が期待できなくなる可能性がある。特に同薬剤は、マイルド法やアンタゴニスト法の時に採卵前にトリガーとしてLHサージを起こして卵子を成熟させる使用方法もあるため、使用についての患者からの聞き取りや医療機関との情報共有は必須である。不妊治療の成功には、医療機関との連携が重要であり、適切な薬物療法の継続における薬局の役割は大きい。処方内容を的確に把握し、医師と情報共有を行うことで、患者の治療方針を支援し、副作用や服薬管理の課題にも迅速に対応することができ、治療の質向上が期待される。