講演情報

[P-035-B]「先服薬指導」に関する患者意識調査

井上 高志1, 森 麻衣子2, 村山 和宏1, 千葉 太一1 (1.(株)アイセイ薬局, 2.アイセイ薬局多摩平店)
【目的】2015年の厚生労働省「患者のための薬局ビジョン」以降、「対人業務」へのシフトが推進され、先確認と服薬指導を集約した「先服薬指導」が注目されている。本研究では、従来の服薬指導と比較して先服薬指導が患者満足度向上に繋がっているのかを明らかにし、先服薬指導導入の有用性を検証することで、今後の薬局業界における対人業務推進に貢献することを目的とする。
【方法】対象患者100名に書面によるアンケート調査を実施し、得られた結果をクロス集計する。データ収集期間は2025年1月1日から同年1月31日までとし、アイセイ薬局多摩平店にて服薬指導後に調査を行う。対象患者は、過去3年以内に1回以上薬局を利用し、先服薬指導と従来の服薬指導の両方の経験があることを薬歴等で確認できる患者またはその家族とする。一方の服薬指導しか受けたことがない患者またはその家族、および20歳未満の患者は除外した。
【結果】先服薬指導により待ち時間が短縮したと48%の患者が回答。薬剤がない状態での指導については、97%の患者が薬剤のある状態での指導と大きな違いはないと回答した。服薬指導満足度Score【(先服薬指導の満足度:5段階)-(通常服薬指導の満足度:5段階)】において、Score1以上の患者は55%、Score0以上の患者は99%となり、Score0未満は1%以下となった。
【考察】処方薬剤数1-2剤と比較して、5剤以上の患者でScore2の評価割合が高くなっており、従来の指導で待ち時間を要していた層に対して、先服薬指導は待ち時間短縮という明確な価値を提供できていることが分かった。また、服薬指導満足度ScoreにおいてScore0以上が99%、Score1以上も55%を占めていることから、先服薬指導は単に待ち時間を短縮するだけでなく、服薬指導体験そのものの満足度を向上させる効果があることが示唆された。