講演情報

[P-036-C]薬剤師の介入により慢性心不全患者のセルフケア習慣化に寄与した事例

木村 尚統 ((株)なの花東日本 なの花薬局さつき店)
【目的】慢性心不全患者における適切なセルフケア(以下、ケア)は心不全増悪の予防に重要な役割を果たす。薬局薬剤師は心不全に対するケア状況や血液検査結果を把握し改善を促していく必要がある。本発表では、減塩と体重管理に関するケアが不十分である患者に介入し、NT-ProBNPを評価しサポートすることでケアの習慣化に成功した事例を報告する。
【症例】80代女性。陳旧性心筋梗塞と診断を受け、過去2回、心不全の急性増悪で入院歴あり。現在は外来通院にて薬物療法を継続中。主治医より減塩および体重管理の指示があったが、服薬指導を通じてその重要性を十分に理解せず実行していないことが判明した。そこで、NT-ProBNPを評価し行動変容ステージモデルに沿って介入を行った。・関心期:体重38.6kg、NT-Pro BNP 2800pg/mL。症状とケアの関連について説明し、簡便に行える減塩方法を提案した。また、1日1回の体重測定と記録について指導を行った。・実行期:体重38.0kg、NT-Pro BNP 1700pg/mL。実行できているケア内容について共有し継続のメリットを説明するとともに、モチベーション維持のために数値改善について前向きな声掛けを行った。・維持期:体重38.0kg、NT-Pro BNP 1500pg/mL。電話フォローを行い、ケアの効果を実感している発言が見られ、ケアが習慣的に行えていることを確認した。
【考察】本事例では、心不全管理の重要性を十分に理解しておらず、減塩や体重管理の実践が不十分であった。しかし、NT-ProBNPを指標としたフィードバックと行動変容ステージモデルに基づく段階的な介入を行うことで、ケア意識が向上し習慣化につながったと考えられる。今後の薬局薬剤師は継続的なフォローアップに加え、患者の生活背景を踏まえた介入により心不全治療に寄与することが求められると考える。