講演情報

[P-041-B]糖尿病治療注射薬の適正使用に向けた課題の調査

近藤 絃太1, 伊藤 将2, 月岡 良太2, 長谷川 佳孝2, 大石 美也2 (1.アイングループ (株)アインファーマシーズ アイン薬局 八雲新店, 2.アイングループ (株)アインホールディングス)
【目的】インスリンをはじめとする糖尿病治療注射薬(以下、DM注射)の効果最大化には、適正使用が不可欠である。そのために、薬局薬剤師は早期に患者の課題を発見し、適切に介入する必要がある。そこで、薬局薬剤師のDM注射の適正使用に向けた介入に有用となる知見を得ることを目的に、課題への対応事例を調査した。
【方法】当社グループが北海道で運営する保険薬局の薬剤師を対象に、社内イントラネットでアンケートを実施し、DM注射の課題に対応した事例を収集した(調査期間:2025年4月11日~5月9日)。その際、課題発見の端緒と課題の要因についての回答も得た。なお、1事例につき、複数の課題が確認された場合は、重複を許容して集計した(アイングループ医療研究倫理審査委員会承認番号:AHD-0274)。
【結果】41事例から課題49件が抽出された。「注射手技の不備(以下、手技)」(22件、53.7%)が最も多く、次いで「患者の投与量設定およびスケジュールの誤り(以下、投与量・スケジュール)」(13件、31.7%)、「デバイス使用の不備(以下、デバイス)」(12件、29.3%)であった。「手技」と「デバイス」の発見端緒は「患者からの相談(それぞれ54.5%、91.7%)」が多く、要因は「操作方法の理解不足(81.8%、83.3%)」が最も多かった。一方、「投与量・スケジュール」の発見端緒は「検査値(46.2%)」「処方変更(30.8%)」が多く、要因は「使用意義の理解不足(30.8%)」が多かった。
【考察】患者の理解不足に起因することが多い「手技」「デバイス」が患者相談で発見されていることは、患者との信頼関係構築の重要性を示唆している。一方、検査値や処方変更から判明するケースが多い「投与量・スケジュール」は、処方背景や治療の全体把握の重要性を示唆している。これらは、DM注射の適正使用に向けた薬局薬剤師の介入における有用な知見と考える。