講演情報
[P-044-B]クオリティ・インディケーターを用いた服薬指導改善プロセスにおける薬局での運用に関する質的分析
○清水 佳一郎1, 阿部 佑一2, 原 綾夏2, 原 正2, 工藤 知也1, 元井 優太朗3, 久保田 隆廣3 (1.(株)カケハシ, 2.(株)ケンユウ, 3.新潟薬科大学 薬学部)
【目的】近年、厚生労働科学研究として「薬剤師の対人業務の評価指標の開発に関する研究」が実施されるなど、薬局における医療行為の質の評価・向上を目的としたクオリティ・インディケーター(QI)の活用が検討されている。薬局でQIを運用するためには、QIスコアの算出だけでなく改善策の立案と実施が必要であるが、その課題に関する報告は少ない。そこで本研究では、QIを用いた改善プロセスの運用を促進させる知見を得ることを目的とする。
【方法】まず、QIを「対象医薬品を処方された患者数に対する当該有害事象に関する服薬指導を受けた患者数の割合」と定義し、電子薬剤服用歴からQIスコアを算出した。次に、(株)ケンユウに所属する薬剤師を対象とし、QIスコアを確認しながら改善策を立案した。立案内容について3か月間行動した後に、服薬指導の改善の必要性や実施時の患者の反応などについて、無記名の記述式アンケートを実施した。アンケートの解析は質的データ分析手法の一種であるSteps for Coding and Theorization(SCAT)を用いた。
【結果】SCATにより、5名の薬剤師の46のテキストから、改善プロセスの促進と阻害に関する12の構成概念を得た。阻害要因となる構成概念としては、「データ活用に対する不安」、「業務改善の失敗に対する不安」、「業務改善による経営貢献の不透明性」、「時間経過による相対的優先度の低下」などがみられた。
【考察】立案時と改善策実施時で異なる阻害要因がみられたことから、QIを用いた改善プロセスの運用を促進させるためには、立案時は過去の実施例の提示による取り組み参加への不安の解消、改善策実施時は継続可能な目標設定と推移の確認、という異なる対策が必要であることが示唆された。一方で、構成概念として促進要因もみられ、服薬指導の改善における有用なアプローチであることも示唆された。
【方法】まず、QIを「対象医薬品を処方された患者数に対する当該有害事象に関する服薬指導を受けた患者数の割合」と定義し、電子薬剤服用歴からQIスコアを算出した。次に、(株)ケンユウに所属する薬剤師を対象とし、QIスコアを確認しながら改善策を立案した。立案内容について3か月間行動した後に、服薬指導の改善の必要性や実施時の患者の反応などについて、無記名の記述式アンケートを実施した。アンケートの解析は質的データ分析手法の一種であるSteps for Coding and Theorization(SCAT)を用いた。
【結果】SCATにより、5名の薬剤師の46のテキストから、改善プロセスの促進と阻害に関する12の構成概念を得た。阻害要因となる構成概念としては、「データ活用に対する不安」、「業務改善の失敗に対する不安」、「業務改善による経営貢献の不透明性」、「時間経過による相対的優先度の低下」などがみられた。
【考察】立案時と改善策実施時で異なる阻害要因がみられたことから、QIを用いた改善プロセスの運用を促進させるためには、立案時は過去の実施例の提示による取り組み参加への不安の解消、改善策実施時は継続可能な目標設定と推移の確認、という異なる対策が必要であることが示唆された。一方で、構成概念として促進要因もみられ、服薬指導の改善における有用なアプローチであることも示唆された。
